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貨幣調査よもやま話⑪ オランダ編

経営学部 櫻木晋一

今回の訪問地はオランダです。江戸時代に西洋国家で唯一日本との貿易が許されていたオランダには、日本史関係の資料が多く残されていることが知られています。従って、日本史が専門領域の私にとっては、オランダでの調査を始めれば泥沼にはまって抜き差しならぬ状態になると考え、これまでずっと調査を控えてきました。しかしながら、日本学士院の古貨幣プロジェクトの運営を引き受けた以上、オランダ調査は避けて通れなくなってしまったのです。訪問都市は、首都アムステルダムと大学の街ライデンです。両市は列車で約35分なので、ホテル代が安いライデンに滞在して調査をすることができます。

     アムステルダム中央駅

ユダヤ人アンネ・フランクが隠れていた家があることで知られているアムステルダムには、1889年に作られたレンガ作りのアムステルダム中央駅(写真)があり、1914年開業の東京駅と似ていることでも知られています。また、空の玄関口であるスキポール空港もアムステルダム中央駅まで列車で15分ほどの便利な場所にあるので、オランダ調査に行くことは苦になりません。

ライデン大学植物園内のシーボルト胸像

2024年9月と2025年9月の二度、ここを訪れました。アムステルダムの国立美術館とオランダ銀行、ライデンのライデン大学と国立世界民族博物館、これらが調査対象です。オランダ銀行はユトレヒト貨幣博物館が所蔵していた日本貨幣の一部を引き継いでおり、一級資料の存在が予測されました。また、ライデン大学は日本研究の拠点となっているので、フォン・スミッツ教授に研究協力を要請することが重要な課題でした。さらに、ライデンにある国立世界博物館には日本史上有名なシーボルト関連の資料が収蔵されていることが分かっていたので、当然その中には貨幣も含まれているだろうと予想していました。ここの学芸員であるダン・コック博士は日本語が堪能で、英語が苦手な日本人にとっては大変ありがたい存在です。また、オランダ人日本研究者たちのネットワークも強固に出来上がっているので、そのネットワークを使って、今回の訪問で新たにオランダ東インド会社の獅子が刻印されている小判を1枚発見できました。このタイプの小判は大英博物館編で紹介しましたが、現時点でその存在を確認できているのはたった5枚だけです。

シーボルト博物館(中央の建物)

オランダの研究者たちは、私の調査協力への申し出に対し、大変協力的であることも助かっています。わずかな滞在期間でできることは限られているので、帰国後に写真資料などのデータを送ってもらえたことが、調査・研究のスピードアップにつながっています。2024年にスミッツ教授から聞いた話では、ライデン大学の日本専攻1年生は120人いて大盛況だそうです。日本の国力低下と比例するように、ヨーロッパの大学における日本研究が衰退している現状からすると、驚きの現象です。これからも近世日蘭関係の延長線上で、両国の相互理解が深まることを祈念してやみません。

 国立世界民族博物館

オランダでの調査は予想通り、来年度以降も継続となっているので、数年後にはその成果をまとめたいと考えています。

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