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  1. 海外研修報告
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ベトナムでの5日間(2023年度短期海外研修報告:ベトナム・ホーチミン)

経営学部経営学科4年 MOHAMED SIDDEEK FATHIMA REEMA

はじめに
本研修の目的は、ベトナムに拠点を持つ日系企業がどのように進出し、どのような経営を行っているのか、その特徴を明らかにするとともに、ベトナムの経済成長に日系企業は必要不可欠なものなのかという疑問を検討し、今後も日系企業の進出が続いた場合、ベトナムにどのような変化が現れそうなのかについて考察するものである。

1. 企業訪問・視察報告
1.1 濃飛倉庫運輸株式会社 / 濃飛ベトナムロジスティックス社
1.1.1 濃飛ベトナムロジスティックス社の沿革 

濃飛ベトナムロジスティックス社の歴史は、1991年5月にVIETFRACHT HOCHIMINHと代理店契約を締結し、日本向け海上輸送サービスを開始したことに始まる。1997年6月には濃飛(香港)有限公司ホーチミン駐在員事務所を設立し、1999年7月に事務所を移転させている。2000年にベトナムで初めて「非移住者名義の保税倉庫」の許可を受け、日本商社様名義で保税倉庫サービスを開始した。2003年4月に濃飛倉庫運輸株式会社ホーチミン駐在員事務所へ移管した。 

    2004年3月にSEA&AIR INTERNATIONALと代理店契約を締結すると、2008年には日本-ハイフォン間の海上輸送サービスに進出した。2012年5月にはLONG BINH LOGISTICSと代理店契約を締結し、保税倉庫で梱包作業も含めた保管サービスに事業領域を拡大していった。 

    2012年8月にはVIETFRACHT DANANGと代理店契約を締結し、日本-ダナン間の海上輸送サービスを開始した。2013年5月にはI.H.T LOGISTICS CAMBODIAと代理店契約を締結し、カンボジアのプノンペンからホーチミンを経由して日本へと至る海上輸送サービスを開始した。 

    2014年1月、現地法人「濃飛(ベトナム)ロジスティクス」をホーチミン市に設立すると、2017年12月には「濃飛(ベトナム)ロジスティクス」HANOI 支店を開設した。これによりベトナム北部の顧客に対する輸送サービス品質が向上した。2019年4月にはベトナム北部顧客への保税倉庫物流サービスの提供を開始した。 

    2019年12月に中国武漢市で最初のコロナ感染者が発生すると、2020年~2021年にかけてコロナ感染者が大幅に拡大したため、ベトナム政府による感染防止に関する各政令が発出され、入国規制や市民生活・経済活動に大きな影響を与えた社会隔離対策が導入された。 

    2023年4月ベトナム北部の国際港ハイフォン港にある濃飛ベトナムロジスティクスの倉庫内に事務所を設置した。ここではスタッフの常駐により、輸送サービス品質が向上した。 

    1.1.2 現地視察において学んだこと 
    濃飛ベトナムロジスティックス(運輸業)においては、物の管理がとても大変である。

    運輸業において最も重要になるのは、荷物の扱い方である。日本の企業であっても作業を行っているのは現地の人々である。日本でも荷物の扱いの指導はされると思うが、現地の従業員に対しても、荷物の扱い方を指導する必要がある。顧客の荷物がどれだけ大切な物かを作業員ひとりひとりが気にかけて作業ができるようにしなければならない。ところが、日本人が伝えようとすると、言葉が通じないという壁が生まれる。その言葉の壁を乗り越えるために、濃飛ベトナムロジスティックスでは、通訳のできる現地の方と一緒に協力しながら業務を行っている。 

    濃飛倉庫の保税倉庫を見せていただいて感じたことは、日本でも虫が入らないような対策はされていたけど、海外であっても虫一つも入らないように対応をしていたことである。虫が引っ付く装置を設置し、それに虫がついていたら全体的な検査などが行われる。そうすることで虫が発生しないように管理している。また、自動化が進んでいない分、日本とは違って対応が難しい時もある。また、ベトナムは陸続きの国がいくつもあるので物流会社を置くにはとても良い場所になっている。新型コロナウイルスによる、コロナ需要があったときの物流はとてもよかった。その理由としては、ホーチミン市はハノイ市と違ってコロナ時にロックダウンになり、町から人の姿が消えたため物流業者も売上が下がる部分はあったが、物流が世を動かしているというように、コロナが落ち着くのと同時に物流が動き出し、大幅な黒字を出すことができた。ベトナムに物流業者は約200社存在する。今後の濃飛倉庫運輸株式会社は、この200社とも競争しあい、日本を支えるのと同時にベトナムにとっても必要不可欠な企業になると感じた。 

    1.2 ベトナム三菱商事株式会社
    ベトナム三菱商事が展開している事業は主に4つある。

    1つ目は、Grand Park Project(不動産開発)というビジネスである。ベトナム最大手デベロッパーVinhomesがホーチミンで開発中の大規模都市開発事業に野村不動産と共同で参画している。2021年3月に「MC Urban DEVelopment Vietnam (urban DEVelopment )」という、高級マンションや家などを建ててそれを販売する事業を設立した。今後は同社を中心にベトナム国内の不動産開発に取り組む事を目標としている。 

      2つ目は、Mitsubishi Motors Vietnam 「Automobile Manuifating & Sels(自動車製造販売)」というMitsubishiがベトナム専用に作ったX Pander CrossやⅩ Forceなどの車の販売する会社で、三菱商事も出資して1994年に合弁で設立された。現在の株主構成は、三菱自動車工業(41.2%)、三菱商事(41.2%)、Trancimexco(17.6%)の3社である。ビンズン省に組立工場がある。インドネシアやタイからの完成車輸入を併せ、2021年度は2万9068台を販売した。これはベトナム国内シェアの約10%を占める値である。 

      3つ目は、UNIQLO Vietnam「S.P.A(アパレル小売)」というビジネスで、三菱商事が持っていてユニクロにはない機能を提供している。UNIQLO Vietnamは三菱商事と一緒になってベトナムに拠点を持っている。2018年に設立されている。株主構成は、ファーストリテイリング(75%)、三菱商事(25%)の2社である。2019年12月にホーチミンに1号店を開店し、現在ではホーチミンに7店舗、ハノイに4店舗、ハイフォンに1店舗の計12店舗を展開している。2021年11月にベトナム全土を対象にEコマースを開始した。 

      4つ目は、Vung Ang 2 「Power Generation(石炭火力発電)」という、石炭による火力発電所を建造している。発電所を設計している理由は、急成長を遂げているバトナムに電力が足りていないからであり、そうした現実を踏まえた上でのプロジェクトである。ベトナム三菱商事株式会社では、エコにも力を入れている。2050年までに温室効果ガスを最低限にするように力を入れている。三菱商事株式会社は、ENECOを50億円で買収した。その理由も、同社にはエコな社会を作るための知識があるからである。また、現地の社長は、とても地球温暖化を気かけている方だなと感じた。そう感じた理由は、すべてのバイクをEV化したいという発言からである。それだけ地球のことを考えたビジネスを展開しようとしていて、120分に及ぶレクチャーの中でも特に心に残った。ベトナム国内の逼迫する電力需給の改善に貢献すべく、発電容量1200MW(600MW×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所を建設・所有・操業し、25年間に亘りベトナム国営電力公社(EVN)に対する発電事業を、パートナーの韓国電力などと共に推進中である。 

      1.3 株式会社日本ノート
      株式会社日本ノートでは、学習帳と一般ノートを製造している。

      日本から、材料を輸入し、それを学習帳や一般ノートに加工して日本に輸出し、日本で販売している。輸出や輸入の際には、濃飛倉庫運輸株式会社のサポートを受けている。 2021年の新型コロナウイルスの時期に、日本ノートベトナムを設立した。社長の神宝氏によればコロナ禍という恐怖はなかったそうである。また、コロナ禍により、日本ではデジタル化が進んだが、売上に支障はなかった。また、今後は、ベトナム国内での販売も視野に入れている。そのため、販売可能なライセンスを取得しているが、商社ライセンスを取得すれば、国内販売もできる。 

        株式会社日本ノートを見学させて頂いて感じたことは、日本人は、社長を含め4人しかいない状況で、きちんとベトナム人を教育・指導して仕組みを掴めていることであり、とても感動した。施設に入ると同時に仕事をしていてもしっかり挨拶をしてもらえ、さらに、機械に合わせて一つ一つのノートを人間の手で作っているのを見て、ノートを見る目が変わった。また、1日に、約450キロものごみが発生する。そのごみも売れる。そのごみを奥のほうの保管室にダクトを利用して風で飛ばしている方法などは、極めて現代的でとてもすごいなと感じた。今のベトナムには、日系企業が多く存在し企業間の横の繋がりにより、より良いビジネスができる環境が整っている。ベトナムに進出した理由は、賃金メリットのためである。すなわちベトナムでは若くて豊富な労働力が低コストで得られるのである。4月にノートの需要が最も高まり、販売が増大するので、ベトナムでは、今の時期から少しずつ忙しくなる。ノートの製造の繁忙期は、2月である。日本の4月入学者をターゲットにした繁忙期である。日本ノート株式会社は、販売可能なライセンスは取得しているが、商社ライセンスを取得することで、国内販売も可能になる。そういった意味では、将来性のある会社だと感じた。

        1.4 OKBコンサルティングベトナム
        1.4.1 業務内容 
        OKBコンサルティングベトナムではハノイ市の店舗を本社とし、ホーチミン市の店舗を支店として活動をしている。

        OKBコンサルティングベトナムでは、拠点設立サポート、経典運営サポート、製造委託先調査、販路開拓(市場調査)、法務アドバイス、会計アドバイス、通訳・解釈、M&Aプロセスサポートなどのサービスを提供している。
        (1)拠点設立サポートでは、事業計画策定、外資規制、進出形態検討のサポートや工業団地、建設会社紹介や法人関係手続き(IRC/ERC新規申請)や個人関連手続き(商用ビザ、労働許可証、一時滞在許可証)や各種提携業者紹介(会計、保険、人材、物流、警備、レンタカー)などのサービスを展開している。 
        (2)拠点運営サポートでは、経営改善サポートや各種法改正に伴う対応、法人関係手続き(IRC/ERC変更など)、当局宛報告サポート、個人関係手続き(労働許可証、一時滞在許可更新)などのサービスを提供している。 
        (3)製造委託先調査では、現地のローカル企業・在越日系企業(候補先)のリストアップや候補先との各種交渉に伴うサポートなどのサービスを提供している。 
        (4)販路開拓(市場調査)では、市場調査、商品説明会、広告宣伝、SNSマーケティングなど、提供業者と一体となったサポートを提供している。 
        (5)法務アドバイスでは、法律顧問によるアドバイス(ハノイ法科大学国際協力部次長、名古屋大学大学院、法学研究科特任准教授)や各種法令、規制などについての調査(ベトナム法に精通した日本人が越語原文を判読)したりするサービスを提供している。 
        (6)会計アドバイスでは、社内税理士によるアドバイスやサービスを提供している。 
        (7)通訳・翻訳では、通訳(越⇄日)ローカル企業との商談時(日本で留学・勤務経験のあるベトナム人スタッフが対応)や翻訳(越⇄日)(日本人による越語→日本語)などのサービスを提供している。 
        (8)M&Aプロアセスサポートでは、候補先ローカル企業紹介、調査、交渉サポートなどのサービスを提供している。 

        1.5 訪問先企業のまとめ
        私が今回の研修の訪問先で全企業に共通して学んだことは、どの企業も日系企業のベトナム進出を待ち望んでいるということである。その理由は、日系企業間での協力ができるというメリットからである。物流業界で例えれば、物流業界だけでは物流は成り立たない。商品を必要とする必要する消費者がいて、その商品を製造している企業(製造者)がいて、その両者を結ぶ役割に物流業者がある。その物流業でも、いろいろなパターンがあり、BtoBの物流業者を通し海外との輸出入をする。仕分けなどを行い、BtoBの商品もあればBtoCの商品もある。そこでまた新たな企業が加わることになる。このように日本国内であれば上記のようなお互いがWINWINなビジネスができる。海外に進出している日本の企業では、数が少なく、それぞれの会社が強みにしている部分も違う。そのため、海外に進出している企業が、同じような日系企業の進出を好む。

        2. ベトナムの歴史、文化、経済
        ベトナムの面積は33㎢で日本から九州を取り除いた面積とほとんど一緒で日本の9割の面積である。人口は1億30万人である。1当たりのGDPは、2023年で4,280ドルである。中央年齢32.5歳(VS日本48.4歳)、出世率2.21歳(VS日本1.34歳)である。首都はハノイで人口は約8百万人である。国内最大はホーチミン市の約9百万人である。政治体制は、社会主義共和国(共産党の一党独裁)である。宗教は、仏教、キリスト教、イスラム教、カオダイ教等がある。民族は、キン族が約90%、53の少数民族が存在する。 また、南北でベトナム語は、発音が違うという言語の特性がある。ベトナム人に聞いても、日本の方言と同じ感覚で、喋っている方言により、どの当たりで生活をしている人なのかが分かる。

        ベトナム人の性格は、北の方に住んでいる人たちは、真面目で物事を正確にやりたがる人が多く、南の方に住んでいる人たちは、緩やかで気楽に生きている人が多い。南北での仲はあまり良くない。その理由になっているのは、南北の人々の性格だと感じた。北に住んでいる人たちは、真面目であるため、先を見通した考え方をしていて、どちらかといえば中国との関係が良い。ベトナム人によれば、経済を回すための付き合いをしているだけという説明があった。南の方は、どの国のどれでも良いから、自分たちに得があれば、取り入れるという感じ人が多いと聞いた。

        今のベトナムの状況は、約50年前の日本にネット環境があり、スマホ、テレビがあったというような状況である。これは、日本にはこのようなネット環境がない状態で経済成長をしたが、ベトナムは、今の社会を動かすネットがあるので、ベトナムの成長はとてもすごい物になると感じた。なぜなら、物を売るにしても、直営店などの店舗を構える必要性はない。家賃や人件費のコストを下げることが可能になっている。急成長しているベトナムの経済には、ネット環境がある事で、いろいろな視野ができることが特徴でもあると考える。

        また、ベトナムの強みとして、ASEANに加盟していることがある。ASEAN加盟国内であれば、税金0円でやり取りができる。なので、物作りひとつであっても、少なくともASEAN加盟国内で、一番コスト削減ができる国を探して製造することができる。ワンマーケットは、その国が成長するために、とても魅力のあるやり方だと感じた。ベトナムでは、法律が厳密に書かれていないため、役所などでは、今日言われることと明日言われることが大幅に違うことがある。法律がしっかりとしていないため、ローカルの意見が勝つことが多い。政府がしっかりしていないので、人々が中心となった国づくりが行われている傾向にある。

        ベトナムの人々は、人前で指導されることをあまり良く思っていない。指導をするときは、その人を一人で呼び出して1対1でおこなうなどの配慮が必要である。また、ベトナムでは、女性の社会進出が進んでいる傾向にある。ベトナムでは、男性は戦争をするための準備をすると言いながら、男性は、あまり働かない。かつて、戦争などが行われていたころには男性は戦っていたが、現在も男性が働かない習慣は変化しなく、今はただの娯楽みたいになってきている人が多いと伺った。現在の日本を考えれば、女性が社会進出をしていることは今後の経済成長にいいことだが、男性も働く必要があると感じた。今のベトナムの現状は50年前の日本と同様であり、その頃から女性が社会進出できているということは、日本に追いついた時にどれだけ大きな力になるかは言うまでもない。

        3. 政治体制とその特徴 
        ベトナムでは、共産党が国家の指導勢力であることが憲法に明記されている。立法、行政、司法の三権は共産党の下で、機能を分担する「三権分業」体制が採られている。共産党の重要な判断は、党員より選出される約200人の中央執行委員会が投票制で決定する。しかし、200人が全国より参集するのは実務的ではない為、政治局員が機動的に判断するのが実態である。政治局員にうち上位5名は職務により序列が固定、地域バランスも南部出身者の退潮が顕著である。政治局を補佐し国家運営を主導する書記局員9名のうち、政治局員4名が兼務メンバー。その他5名も党の要職に就いており、次期政治局員の有力候補となっている。内閣は、チン首相の下、4名の副首相が複数の官公庁を分掌している。公安、国防、内務の三省についてはチン首相が直掌している(公安・国防の両大臣は政治局員)。チン内閣は再任者やキャリア官僚よりの昇格者が多い実務的な布陣(例外はジエン商工大臣等)。2023年は日越外交関係樹立50周年であり、両国の容認多数の往来が予定されている。4月以降は、米国、韓国、ロシア等からも要人の来訪が相次いでいる。ベトナムは、民意が強く、中央政府の決定が地方省に上意下達で必ずしも伝わらない。63の省・都市に中央の組織構造が、県・郡・市(村)の単位でマトリョーシカのように存在する。 

        4. 経済成長とその要因 
        ベトナム経済は1995年以降、約四半世紀でGDP総額は16倍(USD260億→4,065億)、一人当たりのGDPは11倍と劇的な成長を実現した。WTO加盟後に急激に成長し、27年間で16倍に成長した。2022年通年のGDP成長率は8.02%で、2023年上半期の成長率は前年同期比+3.7%である。三次産業が成長を牽引するも二次産業は1Qに続き不振であった。これはグローバルインフレや国内金融引き締めにより足元で成長が純化しているものと予測される。ベトナムのGDP成長率は6.0%を予測、ASEAN主要国で最も高い成長率の見通しだが、1月のベトナム政府予測6.5%からは減少した。ベトナムの経済成長は、製造業を中心に商業(卸・小売)、建設業、金融業、運輸業が主導となった。2022年のGDP成長率のうち、ホテル・レストラン業がコロナ後急回復し、約40%の貢献度になった。製造業は、Samsungを始め、外資系企業が成長を牽引している。 

        貿易額の推移は、2022年における輸出額は、USD3,713億(対10年比で約5倍)、輸入額は、USD3,589億(同約4倍)である。輸出は、米国・中国向け、および輸入は、中国からが過去10年間で急拡大している。2023年1月~5月の輸出はUSD1,352億(前年同期比▲12.3%)、輸入はUSD1,256億(同▲18.4%)である。品目別では、輸入は鉄鋼・プラスチック原料が、輸出は電話機、機械設備が急減した。外国直接投資の推移は、急速な経済成長の背景にFDI(海外直接投資)が存在し、近年では、GDPの5~10%に相当している。他方、基盤となる国内産業が存在しないことや、急成長に追いついていないインフラ整備が課題である。日本のFDIは累積で第3位だが、2023年は、シンガポール、中国、韓国、香港、台湾に次ぐ第6位である。中国は、シンガポール・香港・台湾を経由した投資もあり、プレゼンスを高めている。 

        所得動向では、2000年から2020年までで考えたら、20年間で中間層(年間5,000~34,999ドル/世帯)の割合が11.7%から51.9%に、4100万人急増している。過去10年間で平均月収の3倍に急増(2010年139万VND→2020年423万VND)、ホーチミン市やハノイ市の平均月収は全国の約1.5倍である。 

        格付け機関による評価は、世界3大格付け機関はベトナムをBB~BB+に位置付けている(2022年時点)。2022年9月にMoody’sは、ベトナムの評価を4年ぶりにBB-からBBに格上げした。理由は、力強い経済成長と、外的要因による景気下押し圧力の回復力の高さからである。ベトナムの長期ビジョンは、2045年(独立100周年)に高所得国入りを目指すが、実現にはGDP成長率の年平均が8.3%以上ある必要がある。 

        ベトナムで深刻化している電力不足の問題には、第8次国家電源開発計画(PDP8)を推進している。電力需要は年率約10%で増加する一方、電源開発の遅れにより、特に北部の電力逼迫が深刻化(最大電力需要:2020年6月38.3GW、2021年6月42.2GW、2022年6月45.4GW)である。政府は発電設備を増強・再エネを推進するべく、2023年5月に第8次国家電源開発計画(PDP8)を発表した。 

        5. ライフスタイルとその変化 
        ライフスタイルにおいての変化は7つある。1つ目は、小売の市場規模で、小売売上高は、2021年1,740億USD、年10%の速度で成長している。伝統小売や依然市場の68%を占める。Eコマースのシェアが拡大し、SHOPPE、LAZADAなどの通販サイトが浸透しているが、SNS(Facebook,Zalo)を用いたCtoCも活発に行われている。 

        2つ目は、スマートフォンの普及である。スマホの保有率は63.1%(世界第9位)である。Sumsung,中国系が人気だが、Applleのシェアが拡大している。COVID19対策においてもスマホを活用していた。「PC-COVID」アプリはワクチンの接種履歴が自動で更新される仕組みであった。 

        3つ目は、日系モダン小売の動向である。2010年代より日系モダン小売りが進出した。イオンは2014年の進出以来、イオンモール6店舗、マックスバリュ8店舗と順調に展開を続けている。ユニクロは、2019年に開店し、ホーチミンに7店舗、ハノイに4店舗を展開している。一方、日系のコンビニは、ホーチミンを中心に展開しているものの外資規制(Economic Needs Test等)や土地確保、消費者ニーズ等により難航している。しかし、実際にコンビニを見てみると、セブンイレブン、ファミリーマート、サークルKとコンビニが横一列で並んでいてすごいなと感じた。 

        4つ目は、デジタル経済の急成長である。インターネット上での総取引額は、2021年210億USDであった。2025年には、570億USDと年29%の速度で拡大し、ASEAN第2位に浮上すると期待されている。クレジットカードの保有率は、2019年は4%、代わりにEウォレットが普及しており、現地企業のmomoやZalopayなど43社がサービスを提供している。 

        5つ目は、モビリティの保有状況である。バイクの保有率は2021年66%、平均利用回数は週6.9回とバイクが日常生活の足となっている。2010年以降、年販売台数は200~300万台を維持している。自動車の保有率は2.6%、販売台数は30万台程度である。VAT10%の他、特別消費税5~150%、自動車登録料12%(ハノイ、地域差あり)が課されるなど自動車購入コストの高さが普及の阻害要因である。 

        6つ目に公共交通の普及状況がある。渋滞、大気汚染の解決に向け、ハノイ市では2050年までにメトロ8路線の整備を計画している。ホーチミン市でも来年には、地下鉄ができる。2021年11月に約3年遅れで1つ目の路線(2A号線)が運航を開始するなどの計画のおくれが目立つようになってきている。 

        7つ目に、国産自動車メーカー「Vinfast」があげられる。Vinfastは、最大手デベロッパー「Vinグループ」傘下の国産自動車メーカーである。EV乗用車やEVバスを販売、」また自動運転EVの開発に注力している。全国充電所は、2000ヵ所の展開を予定している。20億USDを投資し北米にEV生産工場の建設を発表し、欧米を中心とした海外展開に意欲的である。 

        6.  現地での体験から得たもの 
        ベトナムの経済文化や人々の気質は、ベンタイン市場を訪れることでより理解できると感じた。ベンタイン市場では、国営の店舗は呼び寄せられたりしないが、民間が経営している店舗では呼び込みなどが酷くて、日本とは全く違う経営であった。ベンタイン市場の経営の仕方には、恐怖半分と楽しさ半分だった。民間の店舗では値段交渉をする事ができる。最初は絶対にありえないような値段を提示されることが多く、値段交渉をしても全然、値下げをしてくれなかったり、値段があわなくて帰ろうとするとさらに、値下げの交渉を行って来たり、その値段もあわずに帰ろうとすると気質が荒くなる定員さんもいた。 

        ベンタイン市場では、一人で歩くのはとても怖いと感じた。盗難などをされる可能性があることは招致済みではあったが、Air Podsのカバーを取られていることに気づかなかったのはとても驚いた。Air Pods自体を取ろうとしたけど、取れなくてカバーだけを取ったのだと思う。ホテルに来て確認するまで私自身も気づかなかったという経験から海外が身に染みたのでとても良い体験になった。また、日系の企業は、その他のブランド物を扱っている商店では呼び込みなどが一切なく、日本で買い物をする感覚で買い物をするこができた。また、レストランなどでは呼び込みなどは一切ない。インターネットなどで自分が調べたレストランに行くと、メニューなどもインターネットと同様な物であった。 

        このようにベトナムの歴史、文化、経済において学べることがたくさんあった。 

        まとめ
        日系企業にも海外に進出しているからこそ生まれている、不安、問題点、課題点、良点がある。私は、何も知らない海外の地に企業として進出するには、大きなプレッシャーと戦わないとできないと感じた。ベトナムに進出している日系企業はほとんどが、どの日本人でも知っているような知名度のある会社ばかりだが、インドが強みとしているレストラン業では、Branchが1つや2つの所も進出してきている。つまり知名度もなく、現場勝負みたいな箇所がほとんどだと感じた。日本にも海外に展開すれば日本よりも売上を伸ばすことができる企業がたくさんあると感じている。そういった企業が、他の国が進出する前に海外に進出すべきだと感じた。例えば、ベトナムと日本は交友関係がいいので、その分、お互いの国を行き来する人は増える。そういった人のために日本の和食店を展開してみることは、もしかしたらチャンスになるかも知れない。日本食を好む在住人も日本食を口にしたことがない人をもターゲットにできる。このようにいくつものチャンスがあるので自分がどう掴み取るかが重要だと感じた。

        私は、私の母国(スリランカ)、日本、ベトナムという三か国で比べることにより、ベトナムの良いところ、ベトナムに足りないところ、日本に足りないところ、日本のいいところ、母国に足りないところ、母国のいいところを明らかにすることができた。今できた気づきを今後どう生かしていくかが大切になる。今回のベトナム短期海外研修を通して海外に興味を持つことができたので、今後は、他の国にも挑戦したいと感じた。その理由は、この3か国以外の国でもその国の良さがありその国に足りない部分があると思うからだ。海外に行くことは、知らない世界を知ると共に、自分のスキルなどを向上させる良い経験になるので、今後もチャンスがあればいろいろな国に渡航してみたいと感じた。 

        事前活動時に設定した課題に対する調査結果

        テーマ1.ベトナム以外からベトナムに進出している企業について
        1.1 調査したい理由と事前に調査した内容
        私がこのテーマについて調べたいと考えたのは以下の理由による。すなわち、誰もが知るようにベトナムは、経済的に急成長を遂げている。そんなベトナムの急成長の背景には、たくさんの企業があると考える。その企業は、ベトナムの企業なのか。それともベトナム以外の国からベトナムに進出してきた企業なのかを知るためである。調査方法としては、実際の町中の看板や広告などしっかりと把握すること。そうすることで、ベトナムの企業なのか、それともベトナム以外の国からベトナムに進出してきた企業なのかが分かる。看板や広告を見るのと同時に、そのお店で実際に提供されている物やサービスについても知りたいと考えた。衣を中心にしたお店が多いか、食を中心とした企業が多いか、住を中心とした企業が多いかを調べることで、ベトナムの成長に必要不可欠であった企業を絞ることができる。そうすることで、ベトナムではどんな企業が多く存在するかも調べられる。それに加えて、ベトナムの需要と供給のバランスがあっているかも知りたい。もし、ベトナムに、現地の会社じゃない外国の会社がたくさんあった場合に、どのような会社が今のベトナムの経済に影響を与えているか、その企業の特徴について詳しく知りたい。海外から会社が増えると同時に経済が成長しているのであれば、ベトナムに需要のある会社を進出させることでベトナムの経済がもっと成長すると考えた。

        1.2 テーマに関する事前調査
        ベトナムに進出する企業のほとんどの目的は、現地市場の今後の成長性である。今後のベトナムの成長を視野に入れた企業が進出する。また、ベトナムにいる優秀な人材の能力を借り、より良い事業を展開していく事を視野にいれた優秀な人材を育成することにも力を入れている。

        1.3 訪問先で学んだこと
        ベトナムでは、海外から進出してきた企業が多い。海外から進出するメリットとして、日本ノートであれば、材料を日本から輸入し、日本ノートベトナムで材料の加工を行い、商品になった物を日本に輸出するというシステムで事業を展開している。ここから得られるメリットは、再輸出を前提に加工をするだけなので税金がかからない事や、ベトナムの方で加工することで施設費や労働者の賃金コストを抑えることができることである。ベトナムでは、衣食住の3つとも同様なバランスで企業として展開されていると感じた。ベトナム経済においての供給は需要を下回っていると感じた。需要はあるが、その需要を供給できない問題があると感じた。例えば、貧富の差だったり、車の需要はあるが、車を持つことで維持できないぐらいの費用が必要だったりすることである。ベトナム人の特徴として、手先の器用な人が多く、真面目で賃金が安くても働いてくれるという特徴をあてにした企業がベトナム進出をしている。

        街中を歩いていても、海外のブランド物のお店以外でベトナムに進出している企業は少ないと感じた。日本の企業がたくさん進出していると感じた。その理由は、高島屋、イオン、ファミリーマート、ミニストップ、セブンイレブン、ファミリーマート、濃飛倉庫運輸株式会社、三菱商事株式会社、株式会社日本ノート、株式会社大垣共立銀行など、実際に足を運んだ場所だけでもこんなに日系企業がある。ベトナムのお店では、例え、営業中でも定員さんは、ビデオ通話していたり、定員同士で会話していたりと日本では、絶対にない顧客に対する態度だった。しかし、ベトナムに進出している日系の企業の定員さんは、あまりそういう態度の人は少なかった。日系の企業だからこそコントロールが可能だと感じた。 

        テーマ2.急成長しているベトナム経済の背景について 
        2.1 調査したい理由と事前に調査した内容
        私がこのテーマについて調べたいと考えた理由は以下のとおりである。近年の日本では、ベトナム人留学生や、ベトナム人研修生が多くなってきているように感じる。ベトナムが急成長しているのにも関わらず、ベトナム人がベトナムから出てしまえば、人が不足してベトナム経済は成り立たなくなる。なので、急成長しているベトナム経済の背景を調べたいと感じた。ベトナム経済は成長している背景で、ベトナムの人が海外に行って研修生という形でベトナム以外の国で働く人が増えている。ベトナムの経済は成長しているのに、なぜベトナムの人がベトナムから出て、違う国で働いているのか。調査方法としては、現地にいる人々に、なぜ、ベトナムの人がベトナム以外の国で働いているのかを聞くこと、現地にいる人の知り合いなどが海外で働いていた場合になぜ、海外で働くことを選んだのかなどを聞きたいと感じた。そうすることで、急成長しているベトナム経済の背景に、ベトナム人は、なぜ、ベトナムから出ていってしまうのか分かる。

        2.2 テーマに関する事前調査
        安価な労働力である。ベトナムの人は、安価な報酬でも働いてくれる傾向にあるために、海外ではなくベトナム国内に企業を置いた方がコスト削減になる。

        2.3 訪問先で学んだこと
        急成長しているベトナムではあるが、ベトナムからベトナム人が他の国に行ってしまう理由としてあげられるのは、貧富の差の問題と低賃金の問題があるからだと感じた。貧富の差を実際に感じたのは、夜の街中を歩いている時だった。深夜10時頃の歩道橋には、段ボールを使って作った机の上に教科書を広げ、真っ暗の中勉強に挑む子供や、深夜の路上で、家族みんなで生活している家族がいた。そんな人達も存在する中、街中の広場に集まってダンスをしたり、路上ライブをしたりする人もいた。また、ランボルギーニやポルシェも見かけた。ベトナムが急成長をしていくと同時にそれについていけない人たちが増えている事を実感した。 低賃金の問題を身近に感じたのは、OKBコンサルティング(ホーチミン)で働いていた人で日本への留学経験と日本での就職経験のある人がいましたが、その人は、自分の国で働きたいという気持ちでベトナムで仕事をしているが、日本よりは、賃金が安いと聞いた。このように、急成長しているベトナム経済の背景には、貧富の差と低賃金がある。これは、国が法律などを使って変えていかない限り解決はしない問題だと感じた。

        テーマ3.ベトナムの文化や人々について 
        3.1 調査したい理由と事前に調査した内容
        私がこのテーマについて調べたいと感じた理由は、ベトナムの文化は、仏教の教えが広く伝わっていると聞いたことがあるからだ。日本にも仏教の教えが広く伝わっているが、日本は、仏教以外の宗教の人達のことも受け入れている。ベトナムの人たちも、異文化理解ができているか、あるいは自分たちの常識だけで生活をしているかを知るためである。

        スリランカには、仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンデュー教などの様々な宗教の人が混合して生活をしている。メリットもあればデメリットもたくさんある。メリットとしては、スリランカには、家族を大切にする文化がある。日本にもあるが、スリランカは、父、母、子供、祖父、祖母という関係だけでなく、遠い親戚も大切にする文化がある。ベトナムは、日本のような文化なのか、スリランカのような文化なのかを調べたいと感じた。

        デメリットとしては、遠い親戚を気にしすぎる事で身近な人を大切にできていない時があることである。スリランカでは、このような事があるが、ベトナムの文化の特徴はどのような物があるかを調べたい。

        私が、ベトナムの人々について調べたいと思った理由は、日本に在住中のベトナムの人たちは、非常に温厚な人が多い。日本にいるベトナムの人たちの間での、貧富の差の問題などは少ないと思うが、実際のベトナムにおける人々の問題として貧困の差が上げられると考えた。貧困の差による問題としては、盗難、窃盗、強盗などの問題が多く出てくると考えた。なぜなら、スリランカも貧富の差がある国で、そういう国は、お金がない人は、窃盗、強盗、盗難などをするようになる。そういった問題がある一方で、貧富の差があっても自分たちは、何かしようという気持ちで出稼ぎをする人も増えていると考える。

        調査方法としては、実際の町中を歩いて感じたことやお店などの対応から判断する。自分たちの常識だけに囚われずに、自分たちを理解してもらうと同時に相手の方にも目を向け、理解してもらえるかも知りたい。調査方法としては、現地人の対応などが判断をしたいと思う。

        3.2 テーマに関する事前調査
        ベトナムは、中国の支配下にあった時代やフランスの植民地であった時代があり、それ以降はローマ字が使用されるようになった。宗教は仏教が多く、民族衣装は、アオザイである。また、教育を重んじる学歴社会であり、カフェ文化がある。国民性としては、真面目で我慢強い性格で、後先を考えずに行動する人が多く、家族を大切にする。一方で、見栄っ張りな一面もある。

        3.3 訪問先で学んだこと
        ベトナムの人は、非常に異文化理解が高いと感じた。それは、私たちは宗教上の理由でハラールフードしか食べられないが、それをガイドさんに伝えた時に、一生懸命にハラールフードのフォーを探してくれたり、他にもたくさんのハラールフードのお店を紹介してくれたりした。この事から、自分には関係ないからやらなくて良いと思うような人では無いことが分かる。つまり、しっかりと異文化理解をしている証拠だと感じた。

        また、ベトナムの人は、非常に家族を大切にする習慣があると感じた。それもガイドさんの言葉からである。家族についての質問をすると、家族に会えるのが遅くなると悲しいとか、早く家族に会いたいという言葉を何度も口にしていた。それは、本当に家族に対する気持ちがないと発する事はないと感じた。日本では、初対面の人に向かって家族を表に出して話す人は少ないが、ベトナムでは、スリランカと同じように初対面の人にも話していたので、家族の幅がスリランカと同様に広いと感じた。

        盗難、窃盗、強盗については、上記のベトナムの歴史、文化、経済の所で記載した通りに、やはり、貧富の差がある分、盗難、窃盗、強盗の被害は非常に多いと感じた。また、ガイドさんにも、外に出る時は荷物を少なくするように声をかけて頂き、ベンタイン市場では、自分の荷物を抱えるように指示されたことから、ベトナムでは、そういった問題が多いと感じた。

        ベトナムには、カフェの文化があると感じた。そう感じた理由は、どこのお店に行ってもコーヒーは確実に存在しており、街中でもいくつものカフェを見つけたからだ。どのお店も時間帯など関係なく、どの時間帯でもお客さんがいてベトナムに必要不可欠なものだと感じた。ベトナムの人々については、普段は穏やかな人が多いけど、ビジネスになると、自分の行動すらも把握できない人がいるぐらいお金の話になると必死になる人が多いと感じた。 

        テーマ4.ベトナムが抱える問題について
        4.1 調査したい理由と事前に調査した内容
        ベトナムでは、貧富の差、インフォーマルセクターの問題、環境悪化、交通問題などが挙げられる。実際に足を運ぶことでどれだけ深刻な問題なのかを把握できると考えた。貧富の差は、テーマ3でも記載したように調査する。

        インフォーマルセクターの問題について調べようと感じた理由は、インフォーマルセクターの例を、スリランカで何個も見てきたからである。法人としての登録はしていないが看板を立てて普通に営業している非公式な企業がある。法人手続きをとっていない企業のことであるが、そのような企業がどのぐらい存在するかは分からない。現地の看板などを見て、非公式な経済活動を行っている企業を現地人に聞いたり、看板の名前で実際に会社があるかなどをスマートフォン等で調べたりしたいと思う。また、日本には、非公式な経済活動をするインフォーマルセクターは、ほとんどいない。

        環境悪化の問題について調べたいと感じた理由は、経済成長をすると同時に環境も良くしていけば、近い将来ベトナムは、日本やアメリカのような国になれるかもしれないと思ったからである。経済成長をして一方で環境に目を配れているかを調査したい。経済成長をしていてもスラム街のような経済成長をしていた場合、それは良い成長の形ではないと思う。経済成長をしながらも環境を改善できる方法があれば見つけたい。

        交通問題を調べたいと感じた理由は、ホーチミンのような都市部では、車の量も多く人の数も多いと思うので、どのような交通整理が行われているのかが気なったので、交通整理がきちんとされているかを検証したいと考えたからである。ベトナムは、バイクが多い国と聞いているので、バイクでの事故などが多いと考える。四輪車とは違ってバイクはどんな小さな場所でも入っていけてしまうが、バイクの運転手さんたちが、交通問題を避けるために気をつけているかなどを調べたい。調査方法としては、実際の街で、人が優先されるか車が優先されるかを調べてみたいと感じた。スリランカでは、日本とは違って、人を優先することが決まりではあるが、車優先の社会になりつつあると感じている。ベトナムでは、どうなのかを知りたいと感じた。

        4.2 テーマに関する事前調査
        ベトナムが抱える問題としては、貧富の差、インフォーマルセクター、交通問題、環境悪化、都市部と農村部の格差がある事が挙げられる。

        4.3 訪問先で学んだこと
        ベトナムに展開している外資系の企業のインフォーマルセクターではないように感じたが、濃飛倉庫の現地倉庫の見学に行く道中でいくつかの商店を見かけた。そのお店は、おそらくインフォーマルセクターだと予想する。その理由としては、押し車のようなもので看板だけを立てて営業している人がいたからだ。営業拠点がなく、自分の土地でとれたものを持ってきて販売したり、別のお店で購入したものを少しの利益をつけて販売したりしている。これがまさに、インフォーマルセクターだと感じた。今のベトナムが抱えている問題は、貧困の差が一番大きいと感じた。街中を歩いていても、現地のベトナムの人の話を聞いても、ベトナムの中の貧困の差をなくす必要があると感じた。 

        環境問題と交通問題については、貧富の差から生まれる治安の問題を解決すると共に、急速な経済成長を遂げている分、トラック、乗用車、バイクなどのモビリティから発生する二酸化炭素の排出量などが問題視されていくと感じた。そのようなモビリティは、人々が生活をする上で必要不可欠な移動手段になってくる。ベトナムにとっては特に必要だと感じた。その理由は、移動手段に、鉄道という概念があまりないからである。鉄道開通の予定は立っていても中々予定通りに開通することがない。なので、ベトナムにとっては、モビリティはとても大切な存在だと感じた。そこで、私が考えた対策は、道路などは先進国と同じぐらい発展していたので、モビリティをEV化していくことである。まずは、一番必要とされているバイク(700万台)からEV化していくべきだと感じた。ベトナム三菱商事株式会社の社長によると、コロナ過ですべての物流が止まった時には、二酸化炭素の排出が少なく、空がとても綺麗だったと伺った。ベトナムで移動をしていても30分ぐらいの距離が一番多くあった。そこで、バイクであれば低コストでEV化でき、人々にも必要とされるのではないかなと感じた。また、EV化すればするほど、今度は、電力不足の問題に立ちはだかることになる。三菱商事株式会社でも電力不足の問題に取り組んでいるという説明があったが、国と共同で石炭火力発電所の設計などが進めていると伺った。火力発電所を使用することで今より環境問題の悪化が懸念されると感じたが、火力発電所を使用する以上に今の環境が悪化していることから、まずは、対策しやすい火力発電から手を付けることが大切だという話も伺えた。

        現地のレストランでそのレストランのオーナーと話せる機会があり、約30分ではあったが、ベトナムの問題について話をした。そのオーナーの人は、ベトナムでは差別が多すぎるという話を聞いた。オーナーの方は、今の大人たちの行動が今道路で、行き場もなくさ迷っている子供たちを生み出しているという話をしてくれた。貧困の差を抑えられるかどうかがわからない程に広まっていることが明らかにわかる。そういった問題をどう解決するかは、お金を持っている人たちが考えてあげるべきだと感じた。例えば、路上生活を行っている人たちにチラシなどで呼びかければ少しではあると思うが環境を改善していけると感じた。そういった改善を少しずつ行いながら、経済成長もしていけば先進国の仲間入りも可能だと感じた。 

        謝辞 
        調査にご協力頂いた企業様をはじめ、宮田理事長、大友学長、2023年度ベトナム短期海外研修にご協力頂いた皆様に厚く御礼を申し上げます。

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