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ベトナム研修で学んだこと(2023年短期海外研修報告)

経営学部経営学科3年 仲村美弥

1. ベトナムとベトナムの人々について学んだこと
1.1 ベトナムという国
ベトナムは元々ずっとどこかの植民地であり特に中国には1000年以上支配されていた。1976年から独立しベトナム社会主義共和国となった。フランスやアメリカの植民地の期間もあっためフランスやアメリカの建物も多く存在している。ベトナムは縦長の国であり日本とよく似ている。日本から北海道を除いたくらいの大きさの国であり2000キロメートルほど縦に伸びた国だ。北のハノイと南のホーチミンで人々の特性や考え方が違っている。それには理由があり北と南で対立したベトナム戦争が原因だ。北と南で1955年から1975年の20年間と長い間争い、その結果北が勝ち北に南が吸収されるという形でベトナムという一つの国として出来上がったのである。

北が勝ったということからいまだに北の方が権限が強い部分が多い。首都も北のハノイである。政治においても同じであり、役人の割合は北が6名、中部が7名、南が3名であり政治も北の方が強い力を持っている。行政も税金の配分は北の方が多く高速道路などのインフラ整備やゴルフ場などの数など北の方がお金を使って発展をさている。しかし今経済がより成長をしていっているのはホーチミンだ。それは特性の違いから起こっている。ハノイはよそ者をあまり好まず昔からの伝統を大切にしている、日本でいう京都のような場所である。一方ホーチミンはいろんな人が集まってきていてハングリー精神があり、さまざまなことに挑戦的に取り組む姿勢がある。そのためいろんな人が集まって新しいこと始め経済を回している。

GDPも27年で16倍、1人あたり11倍まで伸びている。海外からの投資が増えて経済の成長へとつながっている。ベトナムは今海外の会社の製造拠点となっており、安い賃金と若い労働力(平均年齢32.5歳)、手先が器用なことがその需要へとつながっている。ベトナムは社会主義共和国であり共産党の一党独裁政治である。中国・キューバ・北朝鮮・ラオスも社会主義共和国である。

経済が右肩上がりであるがまだまだ発展途中の場所も多く、道などのインフラ整備が不十分であると感じた。道路等のアスファルトなどが割れていたり崩れていて、日本のような真っ直ぐで歩きやすい綺麗な道ではなかった。そしてバイクなどの交通量が日本と比べものにならないほど多く車線などは関係なく赤信号でも止まらないバイクや車ばかりであった。ベトナムではバイクをホンダと呼び1億人の人口のうち約7,000万人はバイクに乗っており80%の人はバイクを利用している。スーパーやコンビニなどは少なく、道端で個人がお店を開いて売っている小売り販売や、市場が販売の主な方法であった。

1.2 ベトナムの人々
ベトナムの人々は南と北で特性が違い言語も方言のような訛りが北と南であることがわかった。

北の人はしっかりしていてきちっとした性格の人が多く南の人はゆるやかで穏やかな人が多いのが特徴である。ご飯などの味にも違いがあり北は塩辛い味付けが多く南は甘辛い味付けの物が多い。日本人は協調性があり集団で仕事をすることが得意であるのとは反対に、ベトナムは個人プレーが多く集団で仕事をすることは苦手である。また仕事の姿勢も日本とは違い携帯を触っていたり座っていたりスタッフ同士で雑談をしていることが普通であった。女性の社会進出も日本より進んでおり逆に女性の方が社会に出ていて男の人よりも強い立場の場合が多い。

女性で出世している人も多く女性社長なども多数いる。男の人はバイクの上で昼間から転がりだらけている人が多い。しかし女性はそれを怒ることはなく、昔の戦争があったからこそもしまた戦争が起きた時に必ず男の人が国を守ってくれると信じているため、日常生活で男の人がだらけていてもなんとも思うことがない。ベトナムの人たちはほとんどの人が英語を話すことができるためさまざまな国の人と会話をすることが可能である。言葉がわからなくても身振り手振りで教えてくれたり、レストランなどで美味しいか大丈夫かなど気にかけてくれる優しい人たちが多い印象である。市場にいる人たちは気が強く日本人だとわかると日本語で話しかけて商売をしてくる。

経済が右肩上がりであるため賃金なども上がっており購買意欲などが増加しより経済が回っているが、貧富の差が激しいのが問題である。お金持ちも存在するがその代わり厳しい生活を送っている人との差が激しいのは事実であり、実際にベトナムで家に電気がないのかわからないが道路で街頭の光を使って夜に段ボールの上で勉強をする少女の姿を目にした。このように経済は発展しているがまだまだ厳しい生活をして苦しんでいる人がいるのは大きな問題である。国民全員が最低限の普通の生活ができるようにする必要があると考える。今ベトナムは中間層の割合が11.7%から51.9%まで20年間で増えている。この調子で激しい貧富の差が少しずつでも埋まることを期待している。政府などに不満を持つ人は多いが経済成長をしているためまあいいかと許す人がほとんどである。

2.濃飛倉庫ベトナム・ロジスティクスについて

写真1 濃飛ベトナム・ロジスティクスでの記念写真

2.1 事前に考えた質問
・なぜ海外への仕事をしようと思ったのか
・ベトナムの女性の社会進出について
・ベトナムでは自動化は進んでいるのか
・主な輸送方法

2.2 訪問で学んだ内容
2.2.1 本社
濃飛ベトナム・ロジスティクスでは日本国内とベトナムでの海上貨物輸送を主に行っている。海上輸送がほとんどであり、鉄道はまだ発達していないため日本のような輸送とは少し異なる点もあった。また、自動化もあまり進んでいない。ベトナムが主に輸送を行っているのは衣類などアパレル関係である。それはベトナム人の手先が器用であり賃金が安く若い働き手も多いため海外企業からの縫製などの仕事が多いからである。また、戦争などの影響も受けており、戦争により船の輸送で通る場所が規制をかけられており通るためにお金がかかる。自国が戦争に関係がないとしても輸送には大きな影響がでる。戦争により輸出する物も変化をしている。

昔は家具の輸出が多くあったが戦争により需要が変わり、家具の輸出は少なくなり食べ物や物資系の物の需要が高まっている。

ホーチミン事務所では従業員とコミュニケーションをとる時はほとんどが英語である。ベトナム語がわからなくても英語や身振り手振りで伝えることが可能である。

事務所の従業員は男性より女性が多くベトナムでは女性の社会進出が日本とは違い当たり前である。

2.2.2 倉庫見学

写真2 濃飛ベトナム・ロジスティクス倉庫前での集合写真

濃飛ベトナム・ロジスティクスが荷物の預かり・保管を行っている保税倉庫を見学した。ここは税関に対する輸出手続きが済んでいない外国貨物を一時的に保管している倉庫である。保税倉庫にあるものは関税などがかからない。倉庫にいる従業員はベトナム人ばかりで日本語が完璧に通じるわけではないが、少しだけ日本語が喋れるスタッフが多く勤務しており、倉庫にある荷物には日本語とベトナム語どちらの表記もあり、日本でもベトナムでもわかりやすくなっていることがわかった。倉庫の物も地域や種類などによって置いてある場所が明確に決まっていた。しっかりと分類をすることが効率的な仕事へとつながっていると感じた。紙類やファイルの資材やノートの資材などが多く置いてあり、全て日本から資材を輸入しベトナムで加工をして日本に輸出している物だとわかり、メイドインベトナムであっても元々の資材が日本でありそこから加工の製造過程を経てメイドインベトナムとして日本で売られているものが多いということを学んだ。

2.3 訪問を通して感じたこと
同じ物流でも日本では鉄道を使って荷物を運ぶことが多いが、ベトナムではまだ鉄道が発達をしていないためそれが当たり前ではないということを学んだ。そしてベトナムでは日本のように自動化があまり進んでおらず人間の手で一つずつ行っている仕事が多い。同じ会社で同じことをしていてもやはり地域や国で少しずつ違う部分があり、それを工夫して仕事を行なっていることがわかった。またコミュニケーションは英語が主であることを知り、やはり日本人は日本語しか喋れない人が多いことがもったいないと感じた。どこの国に行っても英語ができるのが当たり前になりつつある世界であるため、日本人も英語ができるようにしてビジネスチャンスを掴むべきであると考える。今回の訪問を通しての要望として、本社の方では濃飛倉庫がなにをやっているかの話を聞く時間が少なくベトナムの歴史についての話がほとんどであったため、濃飛倉庫本社での仕事などについての話をもう少し具体的に聞く時間を設けて欲しいと感じた。

 
3.ベトナム三菱商事について

写真3 ベトナム三菱商事での記念写真

3.1 事前に考えた質問
・具体的に三菱商事はベトナムでどんな仕事を行なっているのか
・どうすればベトナムは先進国へと成長ができるか
・経済が急成長しているのはなぜか

3.2 訪問で学んだ内容
ベトナム三菱商事は高層ビルなどの住宅街を作る不動産事業や自動車の販売、ユニクロ、電力不足を解消するための発電所を作っている。自動車の販売は元々インドネシアへ向けての商品として販売を行なっていたが、ベトナムでは今経済成長のおかげで購買力が上がっており、自動車の購入も5年で10倍以上も増えている。ユニクロの商品も9,000円くらいの商品であっても今のベトナムでは需要があり売れると知った。

ベトナムの平均年齢は32.歳であり若く労働力のある人材が多いため海外の企業の進出が多く、海外の企業からの投資によって経済が右肩上がりに成長している。1995年からの27年でGDPは16倍、1人当たり11倍にも増えている。所得も20年間で中間層の割合が11.7%から51.9%へと増加し過去10年間で平均月収は3倍へと増加した。そのため購買力が上がり経済が活発に回っている。ベトナムの国の特徴として北の人はよそ者が嫌いで昔からの伝統などを大切にしている人が多く、南の人はいろんな場所から人が集まりいろんなことにチャレンジするハングリー精神があり、どんどんと変化をして行っているのが特徴としてある。経済成長でもハングリー精神が強い南のホーチミンの方が成長して行っている。経済が成長するときにやることは他の国で同じことを昔やっているので、タイムマシーンビジネスを行っている。

3.3 訪問を通して感じたこと
三菱商事という会社自体が大きすぎて何をやっているのかのイメージが湧かなかったが、実際に話を聞いてより具体的なイメージへと理解が深まった。大きな会社だからこそさまざまな事業に取り組んでいるということ、例としてユニクロなど日本では関わりのない企業との協力関係があり不動産や自動車販売、電力発電など様々な事業を行っているのが大きな企業だからこそだと感じた。とりあえずいろんな事業に手を出すのではなく、今必要とされている需要にあったサービスに取り組んでいることも分かった。例えば、自動車販売は元々インドネシアへ向けての販売であったが、ベトナムでの需要が高まり5年で自動車の購買率が10倍へと変化している。電力発電もベトナムでは電力が足りておらず、計画停電などを行いギリギリで電力をやりくりしている事実から始まった事業である。

このように一つの事業や日本と同じ事業を行うことに囚われずに、現地で何が需要があるのか何をすることがこの国の発展に繋がるのかを考え実行するという精神に感動した。

4. 日本ノートベトナムについて

写真4 日本ノートベトナムでの記念写真

4.1 事前に考えた質問
・製造の自動化はどこまで進んでいるのか
・ベトナムへの販売を視野にいれているか
・なぜベトナムで製造を行なっているのか

4.2 訪問で学んだ内容
日本ノートでは日本への輸出を目的とした学習ノートの製造を行っている。ベトナムでは2021年に設立し従業員は30人そのうち日本人は4人である。製造に必要な資材はすべて日本から輸入し、ベトナムの工場で製造加工を行い日本へ輸出しているため日本でしているものと同様再生紙を使用してエコへの取り組みも行っている。また製造を行なっている際に必ず出る紙の切れ端などはすべてゴミとして破棄をするのではなく、業者へ買い取りをしてもらっており少しでもコストカットやエコに繋がることをしている。

日本ノートがベトナムで工場を作り製造を行っている理由は賃金が安く若い労働力が多いためコストカットを目的に2022年にベトナムへと進出をした。製造工場内はほとんどのことはすべて機械で行なっているがやはり完全に自動化ではないためポイントごとに人が必要となっている。最終確認も念入りに行なっておりこれもすべて人間の手で確認をしており、4月など学習ノートの需要が高まる時期は製造が追いつかない時も多いため派遣の従業員を雇って製造をしている。

製造工場がある土地であるがホーチミンでは土地の価格が高騰しており購入して私有地にすることが難しく、ほとんどの工場や企業は貸出の土地や倉庫を利用している。そのため同じ敷地内に他の日本企業も多く存在しており困った時などはお互いに助け合える環境に置かれている。またベトナムでの学習ノートの販売を考えているかというか質問に対してベトナムで販売をする場合は付加価値をつける必要があるという。

そもそも日本の学習ノートとベトナムの学習ノートは種類が違う。ベトナムで販売するためには現地化を検討する必要があり、今まであったベトナムのノートとの違いを押し出し、なぜ日本ノートの学習ノートが良いのかということを伝えることが重要であるということを学んだ。日本語はあまり伝わらないため身振り手振りでパッションで伝えている。しかし工場内に貼ってある張り紙などは日本語表記のものが多く、日本語表記の下にベトナム語が書かれていた。

4.3 訪問を通して感じたこと
日本のための商品をなぜわざわざ違う国で製造してまた日本へ輸入をしているのかわからなかったが、今回の訪問を通してベトナムは賃金が安く若い労働力が多いためコストカットへと繋がることがわかった。日本は高齢化社会であり働き手も少なくベトナムと比べたら賃金も高いためベトナムで製造をした方が利点が多いのである。しかし自動化は日本の方が進んでおりベトナムでは人の手で行っている作業が多いためその分たくさんの人件費がかかるのは不利点であると考える。初期投資にはお金がかかるが完全自動化にしてしまえばもっと効率よく製造を行うことができるのではないだろうか。

ノートの最終チェックは念入りで何回も直接人間の目でチェックをしておりいつも当たり前に使っていたノートへの見る目が変わった。不良品などを一度も見たことがないがそれはこうやってたくさんの人がより良いものを作り消費者へ提供しようという心掛けがあるからこそだと感じた。従業員の日本人4名は全員男性で年齢は様々であった。ベトナムで仕事をする不安はあったがやってみたいと思う挑戦心の方が強く、ベトナムへ移住し仕事をすることを選んだという。私は勇気がなかなか出ずに諦めてしまう時が多々あるため、このように不安にも立ち向かい己のやりたいことを貫く精神を持っている日本人を尊敬している。こうなりたいと思いいろんなことに挑戦しようと思う精神が芽生えた。

5.OKBコンサルティング(ベトナム)について

写真5 OKBコンサルティング(ベトナム)での記念写真

5.1 事前に考えた質問
・海外の企業がベトナムでお店を開く時に現地化は必要であるか
・コンサルティングサービスとは何を行っているのか
・日本の接客は好まれるであろうか

5.2 訪問で学んだ内容
OKBコンサルティング(ベトナム)は日本人がベトナムで経営する際のサポートや、物を売ったりする時にベトナム企業とマッチングをすることが主な活動である。ベトナムへ進出するメリットは人件費が安く若い労働力がある、市場の上昇が見込める、ASEANへの進出も見込めることである。

逆にデメリットはベトナムの法で経営をすることが難しいということである。日本であれば統一された法があり役所の人に聞けば一つの答えしか返ってこないが、ベトナムは様々な捉え方ができる曖昧な法が多く、役所の人も人によって言うことがバラバラであるため難しい点が多い。それをサポートするのがOKBコンサルティング(ベトナム)である。

ベトナム人はベトナム料理が好きなため日本食の飲食店を進出させるのは難しい。しかし丸亀製麺などは海外で成功をしていて、それは現地に合わせて味やメニューを変更したり現地化を行っているからである。日本食だから日本の物だからという理由だけでは成功するのは難しいので、計画をしっかりと立て現地調査をすることが大切である。またホーチミンはハノイより3倍土地が高く土地が買えないため、土地使用券を購入する必要がある。土地代が高いため外食系は利益を生み出すことが難しい。同じベトナムであっても需要も土地の値段も違うためこれも現地で調査をする必要があるのだ。ベトナムでは日本のような丁寧な接客が好まれている。ベトナムではシンチャオ(こんにちは)とカムオーン(ありがとうございます)がほとんどでそれ以外の接客用語があまりない。実際に日本に留学をして日本で仕事をしていたベトナムの人のジャンさんは、日本のような丁寧な接客を取り入れていきたいと話していた。実際今ユニクロのような企業は日本の接客を元に教育を行っている。

5.3 訪問を通して感じたこと
コンサルティング会社が主にどのようなことをしているのかを知るきっかけになった。海外で日本人向けの企業があること自体あまり考えたことがなかったが、OKBコンサルティング(ベトナム)のような企業があるおかげで海外への進出をする時スムーズにやりやすくなると感じた。日本食だから日本の物だからというだけでは売れないというところが意外であった。日本のものは日本でも海外でも信頼がありMade in Japanというだけでそれなりの注目と人気があるものだと思い込んでいた。このような勝手な先入観だけで行動を起こしては危険であると学んだ。想像と実際は必ず違う部分があるため、現地調査がどれだけ大切かということをこの訪問を通して思い知らされた。

6. 個人が設定した研究テーマについて
6.1 研究の目的
私の研究テーマは「ベトナムと日本の接客の違いやマーケティングの特徴について」だ。私は旅館のホテルでアルバイトをしていておもてなしを一番大切にして働いている。この日本ならではのおもてなし精神は海外ではどのように考えられているのか、どのような印象で受け取られているのか。本当にここまでお客様のためにおもてなしをする価値があるのかどうか考えてみたいと感じ、この研究テーマを選んだ。そして学んだことを通して日本の接客マーケティングをより良いものへと繋げていきたいと考える。

6.2 先行研究
ベトナムの接客はあまり丁寧でないと言われている。日本のような笑顔でお客様第一ではなく最低限の接客であり無愛想なことが多い。

6.3 研究結果
今回実際にベトナムで接客を受けて、日本に比べて最低限の接客のみであった。日本人は笑顔で「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」を言うことがベースとしてありお客様により良いサービスを提供することが目的として接客を行っているが、ベトナムはまずまっすぐニコニコ立っているのは普通ではなく、仕事中でも携帯を触ったり仕事の仲間と雑談をしたり座っていたりお客様のことを全然みていない。それでも別にこちら側が何か不愉快になるわけでもなく、サービスの提供に不満を感じることはなかった。やはり日本の接客業務はおもてなしにとらわれすぎてやりすぎた接客なのではないかと考えた。

しかしOKBコンサルティング(ベトナム)の日本への留学と働いた経験のあるジャンさんは、日本の接客は丁寧でとてもいいものであったという。ベトナムでも日本の接客は好まれており、日本の接客をマニュアルとし、教育を行っている店なども増えているのが事実である。つまり日本のおもてなし精神は間違っていない。しっかりとベトナムでもこのおもてなし精神が評価され取り入れられ始めている。おもてなし精神は日本が誇るべき伝統の精神であると感じた。

しかし改善すべき点もある。おもてなし精神は素晴らしいものであるが、少し気を張りすぎているのかもしれないという点である。先ほども述べたようにベトナムでは携帯を触ったり従業員同士で雑談をしていたり座ったりしているのが普通である。日本ではありえない光景であるが、それでこちら側がレストランなどで料理の提供が遅かったり、呼んでもこないなどそう言った不便な点はなく、気軽に話しかけてきてくれてむしろ日本より自由な働き方がのびのびとしていていいなと感じた。

おもてなしの精神は大切であるがお客様は神様という日本は少し頑張りすぎなのかもしれない。もう少しお客様と従業員が対等な立場でホスピタリティーを提供し合えるような関係であるほうが働きやすいのではないだろうか。そして日本ではよく見る残業だが、ベトナム人は絶対に残業をすることはない。退勤の時間が必ず決まっておりその時間になったら退勤をするのが当たり前だ。日本でも残業をなくしストレスフリーな働き方へと進んでいく必要がある。コミュニケーション能力もベトナムは高く市場などに行くと勢いに圧倒されるくらいに営業をかけてくる人がたくさんいた。ベトナムの人はレストランなどで美味しいか、大丈夫かなど気にかけてくれて気軽に喋りかけてくれていたり、日本人は接客としてお客様と店員として線引きをしていたり恥ずかしがり屋が多いので、ベトナムのようなフレンドリーで心が温まるような接客はあまりないのではないだろうか。言葉が通じなくても身振り手振りで色々してくれるベトナムの接客はとても安心感があり嬉しい接客であった。丁寧にこだわることは大切なことであるが、日本人は海外の人に自分から話しかけたり言葉が通じない場合に身振り手振りで相手に何かを伝えることができるだろうか。私はアルバイト先に海外の人が来た時に言葉がわからないからという理由でほとんどコミュニケーションを取ることができない、取ろうと思うこともなかった。しかしベトナムで言葉が通じなくても一生懸命伝えてくれる姿をみて嬉しい気持ちになった。自分も同じように言葉がわからなくてもパッションで海外のお客様を喜ばせられるような接客をしたいと感じさせられた。 マーケティングの特徴は宣伝広告看板がまず派手であると感じた。色がカラフルで宣伝広告看板も大きく目立つ目を引くものが多く存在した。

写真6 ベトナムの看板
写真5 ベトナムの看板

日本では文字だけやシンプルな宣伝広告看板が多いが、ポップな宣伝広告看板が多く全て記憶に残りやすく買いたくなるような消費者の心に残る宣伝広告看板であった。ベトナムの高島屋や市場などで販売している商品は日本語や英語などさまざまな言語で書かれているものが多く、現地の言葉がわからなくてもパッとみて何かわかりやすくよかった。日本は販売の時に日本語表記のポップだけのことが多いため、日本でも多言語のポップを作ることは海外から来た観光客への販売促進に繋がるのではないかと感じた。

ベトナムは日本のような総合スーパーなどコンビニは少なく、道路で売る小売が主な販売方法である。市場でも道端の露店でもただお店を出して待つのではなく、自らお客様に声をかけてアピールをして販売を行っていた。日本人だとわかれば日本語で話しかけてさまざまな国の言葉で接客をしていた。料金は書かれておらず交渉次第で安くなることが多く、これもマーケティング商法であると感じた。値段を書いていないことによりしゃべらないと買えない。一度喋れば向こうのペースにのまれ最初は高い値段をいうが、その後に安くしてくれとお願いすると安くされ、最初の高い金額から安くなったためお得に感じて買ってしまうのがこの販売の仕方である。日本ではこのような積極性足りていないのではないかと考える。決められたマニ

ュアルがありそのマニュアル通りのことをするのが当たり前で、自らそのマニュアルを変更したり新しいことをやろうとする気持ちが少ないのではないだろうか。声をかけて商品をPRしてもベトナムほどの圧はないだろう。謙虚すぎて損をしている部分が日本には必ずあると考える。もっと積極性を持ってさまざまなことに挑戦することが日本には必要である。引かれたレールの上を走るのではない。新たなことを始める精神が日本の経済の成長へもつながるであろう。例えば海外の観光客に自らコミュニケーションを取りに聞くのも新しいことへの一歩へつながると考える。ベトナムでは英語が喋れるのは基本で、市場などの人は日本語も中国語も韓国語などもできる人が多くいた。日本人は英語すら喋れない人が多く身振り手振りで伝えることも苦手な人が多いのは課題である。

6.4 結論
日本のおもてなし精神は海外でも評価され受け入れるような素敵な日本の誇る精神である。そのおもてなし精神を大切にしていくことは重要であるが、改善点も見えてきた。お客様は神様ではなく従業員と対等の立場でサービスを受けなければならないということ。サービスを受ける側もサービスを提供する側も互いに尊重し合うことでよりホスピタリティーの高い接客になるであろう。そして日本に足りていないのはコミュニケーション能力と積極性である。マニュアル通りの接客ではなくお客様1人1人に寄り添った接客、例えば障害を持っているお客様にどのように接客をしていくのか常連のお客様とどうやってコミュニケーションをとっていくのかなど、新たなことに自ら取り組む挑戦心がお客様へのより良いサービス提供につながるのではないだろうか。そしてマーケティングも宣伝広告看板はベトナムのように目を引く派手でわかりやすいものは消費者の購買行動を促進させていくと考える。日本ではシンプルなものが多いのでベトナムのようなものを取り入れてアピールすることは大切なことだと感じた。またやはり日本は海外からのお客様へのサービスがまだまだ足りていないと実感した。

日本は日本人だけがわかるようなものが多いがベトナムはどこの国の人が来てもわかりやすいようないろんな言語の表記があった。日本は今インバウンドが経済を回す鍵になってきているので海外の観光客が一目でわかるようなPOPを作ったり案内を書いたりサービスの向上が大切である。

謝辞
調査にご協力頂いた企業をはじめ、宮田理事長、大友学長、ならびに2023年度ベトナム短期海外研修にご協力頂いている皆様に厚く御礼を申し上げます。

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