経営学部経営学科3年 小池佑奈
はじめに
・研修に応募した理由
私が研修に応募した理由は、純粋に海外に行ってみたいという気持ちが強かったからだ。私はよく旅行をするが、今まで一度も日本を出たことがなかった。日本以外の国に行ってみたい気持ちは高かったが、怖い、心配性、お金、パスポートがないなどの理由からなかなか勇気が出なかった。しかし、朝日大学に入学し、まさかの無料で海外研修に参加できる制度があると知り、参加するしかないと思った。学校の研修なら、先生や同じような学生もいるし安心感、そして何より私の友達も海外研修に興味を示していたことにより、友達と海外の文化を学びたいと思い志望した。
・研修目的
私の研修目的の第一は、外国を知ることで日本を相対化し、比較する視点を持つことにある。実際にベトナムを訪れ過ごしてみると、日本の良さがより分かった。また、その逆で日本の堅苦しさも感じた。特に面白かった学びは市場や飲食店、ショッピングモールなど日本とベトナムでの違いを知れたことだ。日本人と分かった瞬間に日本語で接客する、スマホを堂々と触っている、煙草を吸いながら仕事しているなど自由さを感じた。その分日本はきっちり規則がしっかりしすぎなのかなと思った。詳細は次章以降で述べる。
1. ベトナムに関する異文化理解の促進
1.1 女性の社会進出
私がベトナムに行き学んだことが主に二つある。一つ目が、ベトナムは日本より女性の社会進出が進んでいることだ。ベトナムの女性の労働力参加率は75.2%と高く、世界平均(51.8%)や日本(70.8%)を上回る。そしてベトナムの国会議員における女性の比率は26.8%で、日本の9.7%と比べ、ベトナム人女性は政治参加も活発だ。ベトナム企業における女性役員の割合も、日本の9.3%に対して、22.4%と多く、ベトナムのほうが進出している。
実際に私が訪問した企業(濃飛ベトナム、三菱商事、OKBコンサルテティング、日本ノート)にも女性の社員が8割ほどいた。この理由を伺うと、実はベトナム戦争がきっかけだった。「男性はいざとなったとき戦争に行く。だから今は戦争に行く前に遊んでいる、休んでいる。」という考えがあるらしい。確かに街を歩いていると椅子でくつろいでスマートフォンを触っているのは男性だけ。煙草を吸いながら歩いている人は男性ばかりだった。それに比べて、市場に行ってみると果実やコーヒーを販売しているのは女性が7~8割を占めていた。このような現状には政府の政策である男女平等推進政策や女性能力の開発支援が関わっていると考えられる。また、女性は男性よりも手先が器用、丁寧、あまり怒らないなど、女性の労働力需要の思考が関係していると分かった。
1.2 食文化の特徴
二つ目の学びは、ベトナムの食文化についてだ。ベトナム料理について、食べてみて調べてみてわかったことがある。それは米を主食とし、野菜やハーブを豊富に使用したヘルシーな味わい、中国やフランスの影響を受けながら独自の食文化を発展させていることだ。
まず主食が米であること。これはどのお店にも米があった。日本のお米と似ているが少し水気が少なくさっぱりとした印象だった。そして米粉を使ったフォー、ライスペーパーというものがある。フォーは米粉からできた平打ちの麺に、鶏肉や牛肉からダシを取った、透き通ったスープを合わせる麺料理だ。ここにライム、もやし、パクチーなどの香りを出し、より自分好みにして食べる。実際に食べてみるとつるつると麺がさっぱりと香りも強く、飽きが来ないような味だった。そして、ライスペーパーは吸水させた米をすりつぶし、湯を沸かした鍋の上に張った布にシート状の生地を薄く広げ乾燥させたものだ。これを水で濡らしエビ、パクチー、もやしを入れ巻く、甘辛いソースをかける。すると生春巻きになる。日本でも食べたことがあるが、本場のものはパクチーの香りがとても強く甘辛いソースにマッチしていた。
このようにベトナムならではの料理が多くあるが、これらは南北で味の違いがある。これは視察先企業ベトナム三菱商事社長の池田氏からベトナムにおける南北の違いについてお話を伺ったことでもあるのだが、北は塩辛い料理、南は甘辛い味がメインである。なぜなら、北部は寒冷な気候で、中国の文化に影響を強く受けており、塩分を多く摂取し、体を温めようとする。南は温暖な気候で植民地時代のフランスの影響を受け、塩分控えめでも味を感じる甘味、辛味が多い。他にも中国文化のお腹を冷やさないための温かい食べ物を食べる習慣や柔らかいものを好む、生ものは食べないなどの文化に影響を受けているベトナム人は多い。
また、ベトナム人は外食する人が多い。ベトナム料理はお店ごとで味が少しずつ違いそれを楽しみ習慣化している。このような特徴から、日本の飲食店がベトナムに進出しても失敗するケースが多い。視察先企業OKBコンサルティング・ホーチミン支社長の長田氏から教わったことであるが、それはベトナムの土地は国のものでリース料がとられるのだが、土地代がとても高いことが主な理由だ。それに加えてベトナム料理への愛が強いのも感じられる。だが、ベトナムの丸亀製麺のようにパクチー乗せ放題、甘辛い味、フォーに似た麺に変更できるなど、様々な工夫があり人気が出るパターンもある。このような日本のベトナムに進出した飲食店は麺のお店が多く見られた。特にラーメン屋さんが多い。豚骨ラーメンやスパイシーなスープなど工夫されていた。このようにベトナムの食文化は日本とは違いとても興味深かった。
1.3 人々の暮らしと社会
まず初めに、ベトナムの人々の暮らしについて気づいたことがある。近年急速に経済成長したベトナムの人々はとにかく自動車、バイクを利用していた。バイクは8割のベトナム人が利用している。しかも二人乗りが基本で、家族なら大人一人に子供が二人の合計三人で乗る人も見られた。また大きな荷物でも容赦なく人が持ちバイクに乗り運ぶ姿が見られた。バイクに乗るのは子供から高齢者まで幅広い年齢層が利用し、8割がホンダのバイクだった。そしてそのバイクに乗った人々はルールを守らない人が多い。赤信号でもぐんぐんバイクを走らせる。私たちがベトナムを訪れた際にガイドをしてくれた現地のグァンさんは「道路を歩いて渡るときは走らないで堂々と渡って。じゃないと轢かれるよ」と教えてくれた。確かに今にでもぶつかりそうな勢いで迫ってくるバイクたちはぎりぎりで止まれる運転技術が高かった。もし日本がベトナムのようにバイクだらけになったら事故が多発するだろうと思った。
次にベトナム人の気質について、3日という少ない日数だったがベトナム生まれ育ちの人と会話を楽しみ分かったことがある。ベトナム人は笑顔が多く、優しさがあることだ。たまたまなのかもしれないが、笑顔であふれ優しかった。これは視察先企業の三菱商事の池田氏がおっしゃっていたのだが、ベトナムはどんどん経済成長している、平均年齢が若い、治安が日本よりいいなどの理由からか笑顔の人が多いとのことである。その言葉がフラッシュバックしたようにベトナムで3日間ガイドをしてくれたグァンさんは、私たちのわがままを家族のようにすぐ受け止めてくれた。いきなりマンゴーを買いたい。ベトナムのカフェに行きたい。マッサージ屋さんに行きたい。両替したい。など日程プランが決まっているにもかかわらず私たちのわがままを受け入れさらに追加で提案してくれた。そして私たちのお礼の大量の和菓子を「家族やいとこ親戚に配って食べます。」と笑顔で話してくれた。また、OKBコンサルティングでコンサルタントを務めるジャンさんは私たちがベトナムのカフェに興味を持っていることを知り、おすすめのカフェを紹介してくれた。このように現地の人は笑顔で優しい印象がある。
だが、その分貧富の差も感じられた。街の少し外れた道で段ボールを机にして、電気もなしに勉強する子ども、公園でお金を要求するおじいちゃん、ホームレスの人たちも見られた。また、私たちが訪れたベンタイン市場にはベトナムコーヒー、マンゴーなどのフルーツ以外にもブランドのコピー品が多く売られていた。これらは偽物と思えないぐらい技術は高く間違えて買う人は多くいると考えられた。これらは急激に成長した経済が原因だと思う。急激な成長により追いついていけない人やその差を埋めようとする人たちのなかには、お金を稼ぐため騙して売る、高価なものを身に着けたいという気持ちがあるのではと考えられる。
2 現地進出日系企業視察報告
2.1 濃飛ベトナムについて
研修2日目の午前中に濃飛倉庫ベトナムを訪問し、ホーチミン支社長の石井氏からレクチャーを受け、ベトナムにおける物流の特徴や現状と課題、濃飛倉庫のベトナムにおける活動の展開やその苦労等を理解することができた。
ベトナムは日本と違い鉄道が発達していないため鉄道での運送が脆弱であるのに対して、道路を利用したトラック輸送がメインになっている。また、サイゴン川などの大河が流れているので船での輸送も盛んである。研修初日にサイゴン川クルーズを行ったが、そこでも大型の貨物船がひっきりなしに行き来していた。国際河川輸送も行われており、カンボジアのプノンペンとホーチミンや、カイメップ・チーバイ港を結んでいる。
研修2日目の午後は、ホーチミン郊外、ビエンホアにあるベトナム濃飛倉庫の保税倉庫を視察した。この倉庫に向かうためにトゥクトゥクのようなものに乗り広い敷地をスムーズに移動し、マリオカートのようで楽しかった。マネジャーのヴァン氏から丁寧な説明を受け、保税倉庫の役割や特徴を理解した。倉庫の管理は徹底しており、害虫の発生や雨による浸水被害を防ぐために、頻繁に確認作業を行っていることはとても印象的であった。他方、自動化は日本より遅れているとのことである。だが、日本の倉庫よりも高さを利用していた。日本の濃飛倉庫を見学した際に積み上がっていた3つほどの箱が5つほど積み上げられるようになっていた。日本よりも地震が少ないことも関係しているのかなと思った。
ここに保管されている荷物はベトナムからタイに輸出されることが多い。ベトナムは水産物も輸出しており、その中でも加工したものがメインになっている。例えば、サーモンを捕獲したり養殖したりするのは北ヨーロッパなど他国で、その下処理をベトナムで行っている。寿司ネタのサーモン、ナマズは白身フライへ、このようにしてベトナムで加工されて、日本に輸出されている。
ベトナムから輸出されるものは繊維製品・携帯電話・電子機器などこまごました加工品が多くを占め、これは手先の器用なベトナム人と賃金の低さ、若者が多いことが関係している。家具の工場も多くこれも加工した部品などを輸出している。ベトナムでは男性があまり働かない人が多く、濃飛倉庫の従業員も女性が多く見られた。先に述べたように、議員も女性が多い。濃飛倉庫では英語がメインで会話は英語、日本語が使われていた。
2.2 ベトナム三菱商事
研修3日目の午前中に、ベトナム三菱商事を訪問した。ホーチミン支社長の池田氏より、ベトナムの社会、文化、民族性などに関するレクチャーを受けたのち、三菱商事のベトナムでの活動に関する説明を受けた。私が特に感心を抱いた主な内容は以下の点である。
まず、カーボンニュートラルを掲げ温室効果ガスを2050年までに少なくする2兆円の投資を行っていることだ。さらに再生可能エネルギーの会社を買収して知識を学ぶほか、風力発電、大豆ミートの研究、EV自動車などあらゆるビジネスで取り組んでいる。その延長線戦で、「ベトナムのバイクをすべて電動バイクにすればいいのでは」と池田氏は話していた。
ベトナムは1万人のうち7千台がバイクで、8割がホンダのバイクを使っている。つまりそのバイクを一気に電動にすれば、世界一エコな国になると語られていた。ただ、その電力はどうするか、どう全部のバイクを変えるかなど課題があるとのことである。この話を聞きとても面白いと思った。ガソリンで走るバイクは自動車よりも排出ガスが多いし、騒音が目立つ。それらが電気バイクにすれば、排出ガスを軽減、環境問題、健康被害、騒音問題などあらゆる問題解決につながる。だがその分、全部のバイクを変えるお金やバッテリー場所などの設備インフラ、電力供給など課題が見つかってしまう。三菱車がバイクの話をするぐらいの素敵で大規模な考えだからこそどうなるか気になるし、ぜひ実践してほしいと思った。
ベトナムでビジネスを行う上での特徴として、ベトナム人は長期計画が苦手なことを理解しておく必要があるそうだ。ベトナムは長期計画が苦手な反面、目の前の課題に即応する習性がある。例えばコロナワクチンが初めて来た時期に日本では、電話して予約し、会場に訪れるという段階を踏んでいたが、ベトナムは急にマンションにきて10分後にワクチンを打つので下に集まってと呼び出される。このように短所であり長所な部分があるがベトナムが成長を続けているのは事実であり、これからも伸びていくと予想されている。
2.3 日本ノート・ベトナム
研修3日目の午後は、日本ノート・ベトナムの工場を訪問した。社長の神宝氏からベトナムでの事業内容やノートの製造過程、工場の特徴などに関するレクチャーを受けた後、実際に製造現場を視察した。
同社は学習帳、ノートをメインに作っている。しかし実態は、日本から輸入した原料である紙と糸、日本や中国製の機械を使いそれを糸綴じするのがメインである。ベトナムと日本で比べるとやはり日本のほうがノートを使う人が多く、ベトナムはホッチキスで止めたノートを使うのが主流になっている。コロナの時期でも特に影響がなくノートを作り続けていた。日本だと岡山に工場があるが、ベトナムに工場を作ったのには理由がある。一つはベトナムの賃金が低いこと、もう一つは若くて勤勉な働き手が多いことである。たかがノートの糸綴じだけと思うが、多くの従業員が決められた規則を守り作業していた。完成したものを一つ一つ人の目で確認していたところから、私たちはとても良いノートを日ごろから使っているんだと思えた。一つ一つ人の手が入ることから一年に一回はケガする人もいる。中には工場見学の説明の際に手を切ってしまうこともあったそうだ。作業現場の安全管理は日本、ベトナムを問わず重要な経営課題である。
ベトナムと日本の大きな違いの一つは役所の担当者によって対応が違うことだ。日本は決まりが確立されていてむしろ固いぐらいだと思っていたが、ベトナムは対応が違いすぎて困ることが多い、とのことである。これは三菱商事の池田氏も同様のことをおっしゃっていた。
実際に工場の見学をした際に気づいたすごさがある。まず、建物の背が高く広いのにエアコンが設置され冷房がついていたことだ。確かにあのベトナムの暑さではエアコンは必須かもしれないが、環境が整っていると感じた。そしてどうしても出てしまうノートの切れ端や、品質基準を満たさないために廃棄する紙は、長いパイプを使い吸い上げ、廃棄の紙を集めた場所に移動させていた。そうすることでわざわざ人の手でその紙を移動させる手間が省ける。そしてそのような廃棄の紙、失敗した、ミスがあったノートの紙はリサイクルされる仕組みになっている。
2.4 OKBコンサルティング
研修4日目の午前中に、OKBコンサルティングを訪問して、所長の長田氏より、ベトナムの特徴、経済動向、ベトナムでのビジネスの特徴などのレクチャーを受けた。OKBコンサルティングの主な仕事内容は日本の企業がベトナムに進出した時の手伝い、販路開拓、ベトナムでの市場調査、アドバイスや翻訳、M&Aなど様々ある。
ベトナムにおける経済活動は南北で差が激しく、北部ではリース料が南部より安く工場が多くあり、南部は東南アジアとアクセスが良好であるため小売業、サービス業が集まる傾向がある。ASEANの中でGDPが上がったのはベトナムだけであり、経済成長が著しい。
しかしながら、日本の外食系の企業が進出しても失敗するところが多いそうである。これは家賃が高いことが関係している。ベトナムの土地は国のものであり企業は土地のリース料を支払っている。外食企業が都心の一等地に出店するには100万円ほどの家賃を払わないといけない場所が多いとのことであり、それが経営のネックとなっているようである。また、ベトナム料理は種類が多く店により味が少し違うこと、生ものがあまり好きではない、冷たい料理は好みではないなどのベトナム人の特徴から日本の外食企業の経営困難になりやすいこと分かった。
他にも、ベトナムは日本人より韓国人のほうが多い、宗教性はタイより弱い、南の方はお金を使う人が多く派手な印象、ASEANの中でGDPが上がったのはベトナムだけなどベトナムに移住した後の印象をたくさん教えてくれた。
OKBコンサルティングでは、昔は製造系の会社の法人サポートを多く取り扱っていたが、今は結婚式場などのサービス系の会社が多い。今も昔も新たにベトナムでお店を開きたい、流行らせたいと夢がある人がお客さんになるため、笑顔で前向きな人と接する素敵な仕事先と胸を張って語られた。それを聞いて夢を持ち実現する人はかっこいいしそれをサポートする仕事も素敵だなと感じた。
3 個人が設定した研究テーマについて
「ベトナムのカフェを日本で流行らせよう」
3.1 研究課題
皆さんは毎朝コーヒーを飲んでいるだろうか。日本にコーヒーがもたらされたのは17世紀末から18世紀ごろ、オランダ人により伝わった。明治時代の19世紀後半以降になってから一般化し、太平洋戦争後に全国的に普及した。日本人は一人当たり年間約8.2㎏のコーヒー豆を消費しており、これは1日当たり約1杯弱のペースで飲んでいる。世界と比較すると、日本は2位のアメリカ、3位のブラジルに次いで第4位のコーヒー消費国だ。にもかかわらず日本におけるベトナムコーヒーの知名度は今ひとつ低いといえる。ベトナムコーヒーは日本で流行したり、定着したりする可能性はあるのだろうか、こうした疑問から今回私は、「ベトナムのカフェを日本で流行らせよう」と銘打ち、ベトナムコーヒーの日本における市場性の検討を海外研修のテーマとした。以下がその研究成果である。
3.2 ベトナムのコーヒー文化
ではベトナムのコーヒー消費はどうだろうか。ベトナムは一人当たり約2.2㎏消費し、コーヒーの生産は世界第2位となっている。日本よりは消費量は少ないがベトナムの成長とともにコーヒーの消費量も増えている。そしてベトナムには日本にないコーヒー文化がある。ベトナムコーヒー、ココナッツコーヒー、ヨーグルトコーヒー、ベトナムエッグコーヒーなど変わったコーヒーがたくさんある。一つずつ調べてみる。
ベトナムコーヒーは、コンデンスミルク(練乳)を加えた甘くて濃厚なコーヒーが主流。砂糖を加えたコーヒーよりもかなり甘く、デザート感覚に近く、しっかり混ぜないで飲むと、前半は苦く、後半はとても甘くなる。また、ベトナムコーヒーはベトナム独自のフィルター、カフェ・フィンを使用してコーヒーを抽出している。ココナッツコーヒーは、シャーベット状のココナッツと、コーヒーのマッチがたまらない一品。作り方は、お店によってロブスタで抽出したコーヒー・ココナッツミルク・コンデンスミルク・氷が基本的にどこでも使用される材料で、その他にココナッツチップをトッピングするお店もある。ヨーグルトコーヒーは、コーヒーの苦味とヨーグルトの酸味がマッチした爽やかな風味のコーヒー。ベトナムでヨーグルトコーヒーが誕生したのは10年ほど前で、現在でも人気のコーヒーである。ベトナムエッグコーヒーは卵を使ったコーヒーで絶妙な味、デザートのような感覚のコーヒー。フランス植民地支配下にあった時代に牛乳が手に入りにくく変わりに卵黄を使ったのが始まりといわれている。このようにベトナムのコーヒーの特徴は、冷たくて糖分の多いことがわかる。これはベトナムの気温が一年を通して日本より高いことが関係している。(https://www.ejcra.org/column/ca_145.html)
3.3 日本のコーヒー文化
このようにベトナムにも様々なコーヒー文化があるが日本はどうだろうか。日本では缶コーヒーが発達している。海外では入れたてのコーヒーを飲むのが主流という考えが強く缶コーヒーが売れないが、日本は真逆である。また、日本人は家でコーヒーを淹れるより、喫茶店に行って飲むのがメインであり、単にコーヒーを飲む場所だけでなく、読書や勉強、友人との交流など、様々な目的で利用している。ここで日本特有の喫茶店について調べてみる。
日本における喫茶店の歴史は、明治時代まで遡る。当時は、西洋文化への憧憬から、高級な社交場として喫茶店が利用されていた。その後、戦後になると、庶民の娯楽施設として喫茶店が普及し、独特な文化が形成された。喫茶店の特徴を5つあげる。
①レトロな雰囲気や落ち着いた空間を演出している店が多く、リラックスできる空間として人気。BGMやインテリアにもこだわりが見られ、店ごとに個性がある。
②コーヒーだけでなく、紅茶やジュース、軽食、デザートなど、豊富なメニューを提供している。食事メニューも充実しており、ランチやディナーとしても利用できる。モーニングサービスがある。
③欧米のカフェとは異なり、日本の喫茶店は長時間滞在が可能。読書や勉強、仕事など、様々な用途で利用されている。
④近年は、分煙化が進んだ喫茶店も増えている。喫煙者と非喫煙者が共に快適に過ごせる環境を提供している。
⑤日本の喫茶店は、地域に根差した営業をしている店が多く、地元の人々に親しまれている。地域の情報発信基地としての役割も担っている。
3.4 コメダ珈琲の事例
このように5つほど特徴があるが、実際に人気チェーン店の喫茶店コメダを事例に挙げて詳しくみていく。コメダのホームページを見ると特徴は、主に6つある。
①くつろぎ。お客様がまるで家にいるかのように自宅のリビングの延長線、誰もがくつろげる場の提供をしている。
②コーヒーへのこだわり。「珈琲所 コメダ珈琲店」と掲げているように、文字通りコーヒーはコメダの看板商品。一人ひとりのお客様のくつろぎのために、大切に、ゆっくり丁寧に、1杯いっぱいコーヒーを提供している。苦味とコクを感じる重厚な味わいが特徴のコーヒーに合わせた濃厚なフレッシュや砂糖を加えることでさらに飲みやすくなる。ブラックでは深みを感じると共に、すっきりしつつコクのあるバランスの良い味わい。季節やコーヒー粉の状態を見極め、全国どこのコメダ珈琲店でも毎日ブレのないおいしいコーヒーをお届けしている。お客様に「いつも同じおいしさ」でくつろぎを大切にしている。
③おいしさへのこだわり。コメダでは、誰でも馴染みのある喫茶店メニューをひと手間かけて提供している。温かいものではコメダグラタン、ナポリタン、冷たいものではシロノワール、クリームソーダなどバリエーションが豊富。ボリュームが逆詐欺と呼ばれるほどボリューミー。
④おもてなしへのこだわり。お客様が扉を開けてご来店いただいてから会計を済ませて退店するまでおもてなしの心をもって接客する、これがコメダのフルサービス。そして常連客のメニューを覚えてくれる。
⑤店内。コメダでは、お客様のくつろぎを最優先したお店づくりをしている。明るく開放感のある空間、ゆったり広々した客席、落ち着きのある木やレンガ素材、座り心地が良くあたたかみを感じる色調のソファ、高さと幅にこだわりしっかりと固定された分厚いテーブル、プライベート空間を守る程よい高さのパーテーションなど、これらのさまざまな工夫がくつろぎの空間を演出している。
⑥モーニングサービスがある。ドリンク代の500円ほどで、トーストとゆで卵がつく。(https://www.komeda.co.jp/commitment/kutsurogi.html)
3.5 顧客ターゲット
3.5.1 コメダの事例
このようにコメダの特徴がわかったが、どのような人をターゲットにしているか4Pの観点で見てみる。まずコメダのターゲットは、ファミリー層、高齢者。ボリューミーで分けやすい量、お父さんもお腹いっぱいになるメニューがあり、“だいすきぷれーと”など子供向けメニューがあることからファミリー層を獲得できる。また、何時間いても気にならない雰囲気のため、老人会などで使う場にしていることもある。また、コーヒーチケットやモーニングサービスで毎日朝通う高齢者を狙っている。客単価は約850円と他の喫茶店より高めといえる。
3.5.2 ベトナムのカフェの事例
ではベトナムではどうだろう。どのような人をターゲットとしているか、どのタイミングで飲むのか、客単価はいくらか、どの場所で飲むか、実際に飲んで調べてみる。
私が行ったカフェは「Katinat Saigon Kafe」。なんと朝6時30分から夜23時までやっているカフェだ。「CÀ PHÊ SỮA」というベトナムコーヒーのカフェオレを頼んだ。39,000ドン、日本円で240円。日本のコンビニぐらいの値段設定でリーズナブルだった。味の感想はとても甘くて濃い苦い印象。最初は甘いなと感じていたが徐々に癖になる。夜でも熱いベトナムに適した味でごくごくと飲み干してしまった。基本コーヒーはアイスで砂糖が入っているのがベトナム式なのでブラックなら先にノンシュガーと伝えなければならない。店内はとても広く、夜景が見渡せるテラス席がある。バイクが大量に走る道路、高い建物、コンビニなど見渡しがよく、夜は夜景も楽しめる。また、ベトナムの伝統的な絵画やオブジェが飾られている、Wi-Fiが無料で提供されているなど日本の喫茶店にはない雰囲気とくつろぎ空間があった。
また、ベトナム出身のジャンさん(OKBコンサルティング・コンサルタント)に聞いたおすすめのカフェ「Sữa Chua Trân Châu 」にはフローズンヨーグルトが売っていた。ベトナムはフローズンヨーグルトも人気であるのだ。ベトナムのフローズンヨーグルトは、練乳とヨーグルトをベースにして作られる、甘くてクリーミーなデザート。いちごやマンゴーなどの果物やナッツ、チョコレートなどもトッピングできる。機械でかき混ぜて作られるフローズンヨーグルトはとてもなめらかでさっぱりおいしかった。このようなカフェは高島屋などのショッピングモールにも出店している。ベトナムの平均年齢が33.3歳と平均年齢49.3歳の日本と比べるととても若く、それらを踏まえてもターゲット層は若者であると考えられる。
3.6 日本でのベトナムコーヒー文化の可能性
このようなベトナムのコーヒー文化を日本に上陸させ流行らせるにはどうするか。
まず出店する場所は私たちの住む岐阜県そして私たちが通っている朝日大学の周辺、瑞穂市に設定してみる。そして名前は「サイゴンカフェ」サイゴンは旧ベトナム共和国の首都でホーチミンのことである。ターゲットは学生・20代女性、利用目的は隙間時間の有効活用とする。
カフェの基本メニューは少し甘めのベトナムコーヒーを主流とし、学校などの疲れを癒してもらう。そしてコーヒー豆はベトナムから輸入する。ただコーヒーは甘いだけではなくノンシュガーのものも提供できるようにしたい。他にも、とてもおいしかったフローズンヨーグルト、市場で買ったおいしすぎるマンゴーも提供したい。そしてしょっぱい系にはベトナム特有のバインミー。バインミーに入っているパクチーなどの癖強い匂い物は日本人用に抜きもできる設定にしたい。
そして店内の雰囲気はベトナムのカフェのようにテラス席、洞窟に入るみたいな抜け道のような場所を作りたい。また、定員の制服はベトナムの衣装アオザイにしたい。ベトナム航空に乗った際とてもかわいいと感じたアオザイを日本にも広めたいからだ。このアオザイを試着できるセットを用意するのも面白いと思う。そして店内にはとにかくベトナムグッツを飾り購入できる小物も置きたい。例えば「ノンラー」竹ひごで編んだ骨組みで円錐形の形をした帽子だ。これはベトナムの漁師が日よけや雨除けのために使用していたものだが、このノンラーを被った様々なキャラクターが売られておりとてもかわいかった。また、ベトナム刺繍巾着これは実際に私もお土産として買ったぐらいかわいい刺繡が施されている。そしてベトナム高級チョコレート、これはとてもおいしいのにパッケージがおしゃれで一人分のサイズ感がかわいい。このようなベトナムの物たちで購入もできる形をとりながらお店をベトナムで染めたい。
3.7 まとめ
実際に私がベトナムで体験し、感じ取ったベトナムコーヒーやその文化的魅力は以下のとおりである。
・珈琲だけじゃない豊富な種類
・ゆったりとした時間を過ごせる
・シンプルでお洒落、映えるスポットがある
このように検討した結果、ベトナムコーヒーやその文化を日本に上陸させ、定着させる可能性は十分にあると思われる。裾野の広いまだまだ未開拓の市場といえる。日本にもベトナム料理のお店が増えてきたがどのような工夫をして日本に上陸させたのか、今後さらに調査していきたい。そして私たちの実際に感じた良さをどう生かすか、市場調査を行い、メニューの種類をどうするか、価格、店内など研究し積極的に行動していこと思う。
おわりに
今回の海外研修において、以下の点を学び、自身の成長を感じ取ることができた。
① 日本との文化の違いを知り理解すること
② コミュニケーションをとる楽しさ
③ 自分の身を守ること
日本とは違うと知りながらも、海外の危険さに実感できず危ない場面もあった。バイキングの際机にスマートフォンを置きっぱなしにする。ベンタイン市場で掏られそうになる、夜の公園、バイクに轢かれそうになる、空港でキャリーバックにモバイルバッテリーを入れっぱなしにして呼び出される。などいろいろなハプニングもあった。だが無事に日本に帰り日本の安心感を実感でき、海外へ行くスリルわくわくも実感しいい経験ができた。そしてベトナム人と片言な英語で会話、使ったことのないドンを使い買い物、初めてのハラルフード、ベトナム料理、みんなでマンゴーとマンゴスチンを大量に食べた夜など一人ではできない楽しみや思い出を作ることができた。短期間ではあったが大変実りの多い研修となった。
謝辞
このように、ベトナム短期海外研修は私にとって大変有意義なものとなりました。研修の機会を与えてくださった宮田理事長先生、大友学長先生をはじめ、関係者のみなさまにお礼申し上げます。
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