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国内研修を終えて(林卓史)

 林卓史

 2016年度から、留学休職期間を含めますと3年間、本学を離れ、慶應義塾大学にて研修を行なっておりました。研修期間中、皆様には多くのご負担をおかけいたしました。ありがとうございました。
 研修期間中は、主に野球投手のコーチングおよびチーム・マネジメントに関する研究を行なっておりました。特に、投手のコーチングに際して、球質(回転速度やボールの変化量など)を計測し、計測結果を基に各投手のコーチングを行ない、投手陣のマネジメントを行なう、という実践研究を行なっていました。その結果は、4本の学術論文と、1冊の書籍、博士論文としてまとめることができました。

 球質に着目するきっかけは、野球に関するバイオメカニクスの第一人者である國學院大学の神事努准教授との交流でした。神事准教授との交流を通じて、球質を計測することに大きな可能性を感じておりました。しかし、2016年-2017年当時は、国内にて球質を計測する機器が流通しておらず、米国より購入いたしました。その後、4万球あまりの投球の計測を行ないました。計測することにより、選手自身が「現在地」を理解することができ、そこから「どのような投手になりたいか」「どのような投手陣を形成するか」といった議論に発展させることができます。

 今後は、研修での成果を活かしながら、「コントロール」や「打ちにくさ」といった従来は計測が難しかった事柄を計測したいと考えています。また、近年は障害予防の観点から「投球数の制限ルール」の導入が進んでいます。「どのような投手が打たれないか」を示すことは、複数投手制の確立を助け、ひいては障害予防にも貢献できる、という夢をもっております。

 研修期間を通じて、このような研究を行なって参りました。大変遅くなり恐縮ですが、ご報告いたします。誠にありがとうございました。

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