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私の「遠隔」基礎ゼミ (2)― こころを打たれる学生たち(山田昇司)

山田昇司

 前回の報告では芥川龍之介の「トロッコ」の感想を紹介したが、その他の作品では「杜子春」「蜜柑」「魔術」を取り上げた。毎週送られてくるレポートを読むのは楽しかった。というのは、その感想には「心温まる」「とても楽しかった」「心が癒された」「心にグッときるものがあった」「今一度考えさせられた」といった言葉が書かれていたからだ。

 私はこの学生たちの気持ちがとてもよく分かった。というのは、私自身の中にもそれを読んだときの感動が今まだ新鮮に残っていたからだ。実をいうと私自身がこれらの芥川の作品を読んだのはつい数年前のことだった。ある仕事のために日本文学の短編をいくつも読む機会があり、そのときに彼の作品にも出会ったのだ。それ以降、私は自分の英語授業の教材に「信号」「レ・ミゼラブル」「走れメロス」といった国内外の文学作品も採用するようになった。

 さて、今回はふたりの学生の「杜子春」の感想文を紹介する。書き手の心中が自分自身の言葉で綴られていて、その気持ちが読み手によく伝わってくる。とりわけ、ふだんあまり(あるいは、ほとんど)口にすることはないであろう親への感謝の言葉が記されているところでは私は思わず微笑まされて心が和んだ。


 今回の課題の杜子春を聴いて思ったのは、人生において失敗を経験しないという人はおそらくいないということです。ぼくも何度も失敗を経験し、また、同じような失敗を何度もくり返してしまうことがある。そのような自分を情けなく思い、時には絶望するような場面もあるのだが、杜子春のように前向きに生きていかなければならないなと思いました。そして、親の大切さを学ばせてくれる作品ということもしっかりと聴いてわかりました。

 彼に与えられた試練は口を開いてはいけないという内容だったので、大きな蛇があらわれて体を巻かれても、虎がほえても、閻魔があらわれて地獄に落とされても、口を開きませんでした。僕はそれを凄いことだなと、思いました。普通の人はそれだけ怖いことがあったら、おそろしくて仙人との約束をやぶって口を開いてしまうはずなのに、この杜子春は固く約束をまもっていて、凄いなと思いました。杜子春の良いところはたくさん見習いたいとおもいます。

 でも杜子春にはもっと凄いところがありました。それは親のことを大切に思っているところです。どんな辛い試練を受けても口を開かなかった杜子春が、親がぶたれるところを見て口を開いたところに僕はとても感動しました。どんなことより辛いのは、自分の親が何かされることだという優しい親思いの気持ちがあったからです。

 親がいま洗濯をしてくれたり、ご飯などをたくさん作っていてくれたりしていますが、こういうところでしっかり日頃の感謝を思うだけでなく、言葉にして伝えないといけないなと思わせてくれる作品でした。

 また、これを聴いて僕は自分に置き換えてみました。もし小遣いなどをもらってもそれを大切にせず使いまくっていたら、この話と一緒でいくら貰っても、結局は貧乏になってしまうんだなと考えさせられました。最近は外に出ることが少なくお金を使う場面が中々ないですが、もしコロナがおさまってきたらたくさんの誘惑があるので、この話を思い出して踏みとどまりたいなと思いました。 (藤井凌)


 私は、今回初めて「杜子春」というお話を読みましたが、とても心温まるお話でした。杜子春は、貧乏な暮らしをしたり、仙人のおかげで贅沢で裕福な暮らしをしたりしていました。周りの人たちは、やはりお金を持っているか、持っていないかで、人を見るのだなと思いました。確かに生活を送るためには、お金は必要不可欠ですが、持っているか、持っていないかで人を判断するのは、おかしいと思いました。

 杜子春は、仙人になるための修行の中で、仙人から、「何があっても一言もしゃべってはいけない。」と言われていました。杜子春は、その約束をどんなことがあっても破ることなく、守っていましたが、馬の姿になった父と母が目の前でむち打ちされて、ボロボロになった母が「私たちのことはいいから幸せになりなさい。」と言うのを聞き、杜子春が、「お母さん」といったところは、とても感動しました。

 改めて、親のありがたさと、親は息子や娘がどんな状態であっても、ちゃんと息子、娘のことを信じ、守ってくれる、温かさを感じました。杜子春は、仙人との約束を破ってしまい、仙人にはなれませんでしたが、人として、大事なものを学んだ気がしました。私も、杜子春のように、人として、優しい心を持って接していきたいと思いました。お金があれば、人生損はないけど、お金で買えないものもあるので、お金で買えないものを大事にしていきたいです。 (野田鈴佳)

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