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役に立った資格取得(その3)(畦地真太郎)

(承前)

  1. 産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会)と国家資格キャリアコンサルタント

 本当に打ち切りになったのではないかというタイミングで更新。

 産業カウンセラーは元々は労働省が認定していた半国家資格的なものだったのだが、今は後継団体の認定する民間資格である。水準としては「カウンセリングとは何かを理解し、傾聴の基本ができ、倫理規定を守りクライエントに危害を加えない」ことができる程度だと認識している。もうちょっと言うと「カウンセラーとしては仮免」であることを自覚しながら研鑽していけるぐらいの資格。

 とはいえ、もちろん馬鹿にして書いているわけではない。日本では「カウンセラー」を自称することは(占い師や陰陽師を自称するのと同様)何ら法に触れないので、倫理がなく傾聴ができない、ところが自分はカウンセリングが“できる”と思っている、お偉い自称カウンセラー様が山のようにいるのだ。

 正直なところ、協会の訓練を受ける直前までは、私も“できる”と思っていた。だって、学生の悩みとか問題とかを散々聞いて解決のための指示をする仕事だもの。ところが、4月の半ばから2週に1回ほどのペースで訓練に行き、5月連休明けの3回目の訓練の後は、泣きながら「できない、もう無理、やめよう」と思っていた。傾聴(人の話を丸ごと肯定的に聴き、しかもそれに流されない)なんて、全くできていなかったし、できないというのが分かったからである。

 そこから曲がりなりにも資格を取って、まあなんとか「学生相談や地域でのインタビューに技法の一部を活かしています」と言えるようになったのは、徹底的に「カウンセリングや傾聴が“できている”とか“できていない”とか考えるな」と叩き込まれたためだと思う。そう、産業カウンセラーの資格は持っているが、私はカウンセラーではないのだ。実務的側面からは、資格更新研修しかしてないし、スーパーバイジングも受けていないし、対象が学生や地域の人の場合は倫理的に「カウンセリング」してはいけないしね。とはいえ、臨床心理学が培ってきたノウハウと知見を学ぶことができたという意味では、非常に有用だった訓練期間(約8ヶ月)だった。

 そこから協会の「キャリアコンサルタント」資格を取得し、それが制度の変わり目で国家資格にスライドして、「国家資格キャリアコンサルタント」を維持している。こっちの方は、ゼミ生の就職支援に直接役に立っている…ような、そうでもないような。うちは就職支援課が有能なので、出る幕がないというか、リファーするのが主な仕事なのだ。それでも、様々なキャリア理論や労務関連の知識、ジョブ・カードの作り方などは、一応、学生を支援するのに役立っていると思われる。

 ちなみに「国家資格キャリアコンサルタント」と書くと研究を進めて、その見返りとして莫大な研究資金と様々な特権を与えられる錬金術師のような特権がありそうだが、全くそんなことはない「入り口レベル」の資格である。上級に「2級/1級キャリアコンサルティング技能士」という、本当に職能支援ができる資格があり、私の認識ではハローワーク等で相談員として活動するために必要というものである。つまり「ある程度訓練されたシロウト」に他ならない。ただまあ国が「キャリアコンサルタント5万人計画」(現在10万人計画)とか寝ぼけたトレンドを作っていることだし、他に国家資格と名のつく物を持っていないし、乗っかって維持しようと考えている次第である。

 という感じで、取得している様々な資格を紹介してみた。こんなことに時間と労力をかけるのだったら、1本でも多く論文を書いて博士号を取れよ!ということなのだが、最初にも書いたとおり趣味なのだから仕方がない。ただ、資格取得や学習というのは、継続していて損はないのだなあ、というのが正直な感想である。次は簿記3級を取得して、経営学部の教員としてせめて貸方と借方の区別ぐらいはつけられるようになろうかなあ…というのが、目下の野望である。なんで収入と支出って言っちゃいけないんだ?

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