山田昇司
前回、前々回の報告では芥川龍之介の「トロッコ」「杜子春」の学生エッセイを紹介したが、今回はO.ヘンリーの短編の感想文を紹介する。青空文庫では、彼の作品(翻訳)は5篇収録されているが、課題にはその中から「罪と覚悟」と「賢者の贈り物」を採用した。今回、紹介するのは「賢者の贈り物」について書かれた作文である。
その作文を紹介する前にこのことにも触れておきたい。それは「コピペ」の問題である。このような課題を出すと、必ず「コピペ」する学生が出てくる。WEB上にはその作品が名作であればあるほど「あらすじ」や「感想文」のサンプルがいくつも出ている。
私のゼミも例外ではなかった。あるとき、次のようなメッセージをゼミ生に出している。
ゼミ生のみなさんへ
今回も、全員の人が、提出期限までにレポートを提出できました。
ただ、残念だったのは、感想文を「コピペ」で出した人が3人もいたことでした。
自分の力で、あらすじをまとめたり、感想を書かないと、いつまでたっても書く力は身につきません。
最初は、たくさんかけなくてもかまわないので、必ず、自分の言葉で書いてください。
それから、最後まで話を読まずに、レポートを書いている人もいました。
きちんと、最後まで読んでから、あらすじと感想を書くこと。
「コピペ」はすぐにわかる。どうしてわかるかというと、本人にしか書けない「授業報告」や「近況報告」と読み比べると文体が明らかに異なっているからである。
ある学生は、一回目は全面コピペ、二回目は部分抜き出しコピペをしてきたが、どちらもすぐに分かった。二回目のときは電話して注意したが、それ以降、彼の作文は見違えるようによくなった。やればできるのだ! 以下の一文はその彼がレポート提出のときに感想文につけた「まえがき」である。
今回読んだオー・ヘンリーの「罪と覚悟」は、正直なところ今までの課題はコピペをしたりしていましたけど、初めて自分で最初から最後まで文字を読み、YouTubeの朗読の動画を見ながら読みました。まず初めに思ったことは、読み始めるまではめんどくさいとか思っていたけど、読み始めるととても面白くて、ついついのめりこんでしまいました。
私はこの「まえがき」に「今回の提出レポートを読んでいちばんうれしかったのはこの文を読んだときです」というコメントをつけて他のゼミ生にも紹介した。彼が「読書の楽しさ」という扉をついに開けたと私には思えたからだ。
最後にO.ヘンリー「賢者の贈り物」について書かれた学生作文を2編紹介する。どちらも若者らしい感性あふれる筆致である。(2020/06/14)
今回の「賢者の贈り物」を読んでおもったことは、お互いを思い合うということはとても素晴らしいということです。
あらすじはこんなふうです。
あるところにジムとデラという若い夫婦がいました。ふたりはお金がなく安いアパートに暮らしていました。そしてとくに景気が悪かった年のクリスマスイブの日のことです。2人はこのクリスマスをなんとか楽しくするべくプレゼントを送ろうと考えていました。
しかしお金がなかったデラは自分の長かった髪の毛を切ってしまい、あるものと交換したのでした。それはジムが持っている金の時計につけるプラチナの鎖です。
ジムもデラに何かプレゼントしようと思っていたのですが、ジムもお金がないので自分が大切にしていた金の時計を売ってしまいそのお金でデラが欲しがっていた髪の毛のクシをプレゼントしようと買いました。
そして2人でプレゼントを交換するときに、ジムがプレゼントしたクシでとかすはずの髪の毛がなく、デラがプレゼントした鎖をつける金の時計がない状態でした。ですが2人はお互いの愛を受けとりました。
この話を読んでやっぱり相手を思いやることは最高なことなんだと思いました。お互いに相手が自分の大切なものを差し出してまで相手が喜ぶようにしているということが2人のお互いに対する愛情が本当に強かったんだと感じました。
将来結婚したときや、結婚してなくても恋人などにはそれくらいの思いやる心を大切にしていきたいです。また、恋人だけでなく友達や関わる人みんなに思いやりの心を大切にしていきたいです。(横井太登)
今回は「賢者の贈り物」を読んだ感想と思ったことについて書いていきたいと思います。
まずあらすじを説明すると、季節はクリスマスで2人の温かいカップルのことについての話です。アメリカにジムとデラという夫婦がいました。自分はそんなに給料が良く裕福なわけではなくあまりお金がない生活を送っていました。そしてクリスマスが近づいてきたときデラはクリスマスを楽しもうと思いました。
そこでデラが鏡の前に立ちお化粧を直していたとき、すばらしいことを思いつきました。デラにはとても長く美しい髪の毛がありました。すぐにその綺麗で長い髪の毛はある商品に変わりました。それはジムが大切にしている金の懐中時計のためのプラチナのつけるものになりました。
そして一方、ジムもデラのために何かすばらしいプレゼントをしようと考えていました。でも残念ながらお金がありません。ジムは、祖父と父から受け継いだ大切な金の懐中時計を売ってしまい、デラが欲しがっていた髪飾りを買いました。
デラは、ジムにプレゼントするプラチナのつけるものを用意し、ジムの帰りを待っていました。ジムはしっかりと定刻通りに帰って来ました。そして扉を開いたジムは、デラの顔を見て、とてもおどろいてしまいました。デラのあの美しい長い髪の毛が無くなってしまっていたからです。でもデラも似たことを思いました。髪の毛を売って買ったプラチナのつけるものをつけるはずの、ジムの金時計もなくなってしまっていました。
ジムが金時計を売って、デラの髪に飾ろうとした髪飾り。デラが自分の髪を売って買ったプラチナのつけるもの、どちらも使えなくなってしまいました。デラの美しい髪の毛もジムの金時計もないからです。
でも2人はお互いの優しさを受け取りました。自分の一番大切にしていたものを犠牲にしてまで、愛する者を喜ばせようとした、その優しさを互いに感じることが出来ました。2人はプレゼントを机の引き出しにしまいました。これで終わりです。
今回の作品は恋愛系で聞いていてとても楽しかったです。(藤田凌)
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