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役に立った資格取得(その1)(畦地真太郎)

 最近、資格取得のために勉強したことが役に立っていることが多いような気がしている。とはいえ、経営学部で取得に邁進して日夜寸暇も惜しんで勉強している学生さんが多い公認会計士のような超難関資格ではなく、少し真面目に勉強・訓練すれば取得できるような資格である。一時期、学び直しのようなものも含めて資格取得に凝っていた時期があり、手元で数えてみると“研修に2日間出席していれば取れる”ものも含めて23資格も獲得している。まあ、大学教員として持っていて当然、持っていないとおかしい“博士号”という資格(学位)は持っていないんだけどな!(関係者の方々におかれましては一生憎しみ恨み申し上げ続けます)

 資格取得に目覚めたきっかけは、2012年に「社会貢献・ボランティア論」の指導に必要だった「サービス介助士」を経営学部の教員全員で取ったことだったように思う。この内容は「当たり前」のことが多いのだが、体系的に知識を整理し、正しい介助の仕方を再確認するという意味では有用だったと思う(現在も授業担当に備えて資格更新中)。ただ、授業内容への知識の反映や、地域社会での活動、研究での考え方の枠に影響を与えたという意味においては、以下のような資格が役立っていると思う。それぞれ費用や研修期間などに差があるが、興味のある読者の方は「そんな資格もあるんだ~」程度に調べてみていただきたい。

  1. 自然体験活動リーダー(国立青少年教育振興機構)

 この超インドア派を自認しており、日光アレルギーのため真っ白で太ったおっさん(「諸君、私は研究が大好きだ」と口走るため渾名は“少佐”)が、なぜか自然の中で人々を引き連れてガイドをする“補助”を行える資格を持っている。取得のきっかけは2014年頃に岐阜県との仕事で、県内のガイドツアーに対する関与を、当時経営学部にいらっしゃったT教授の鞄持ちで務めていたこと。上述の通り(そしてこれまでのコラムにも書いた通り)外に出るのが大っ嫌いなので、ガイドの仕事が全く分からないというというのが、勉強をしたきっかけだった。

 取得したのは、たまたま春休み期間中で日程が合った、群馬県のNPOでのセミナー。3日間の研修で、座学とワークとスノーシュー・エコツアー体験で、講座参加費自体は1万円程度だった気がする(逆に交通費と宿泊費がそれなりにかかった)。ただ、主催者のNPO代表者に直接言ってしまったのだが、内容自体は3~5万円取らないと割に合わないだろうと思える、素晴らしいものだった。

 とにかく徹底的に叩き込まれたのは、(当然なのだが)ツアー中に起こる全ての出来事の責任はガイドにあるということ。そのために、ガイドはあらゆる想定を行い、リスクテイキングしなければならない。最悪の事態を考えてガイドの顧客への事故補償保険はもちろん、顧客の自然活動保険も料金に上乗せ請求してでも入ってもらう必要がある。判断に困る場面があったとして、状況は刻々と変わっていくため、使える思考時間は最大1分。顧客満足度を最大に引き上げるためにはホスピタリティが重要であり、さらにその下準備として自分のフィールド内についての全ての知識を習得しておくことが必要。

 正直なところ、この資格は全く使っていないのであるが、ガイドというか、他者を引き連れて行動するときの気構えのようなもの、安全確保の考え方を芯から作り直してもらったような気がする。その後、自分は学生を引き連れて瑞穂市内を探索・調査する演習を行っているが、その際の行動計画や安全確保などは、この研修での体験と知識が元になっていることは間違いない。

  1. グローバル・ホスピタリティ・コーディネーター(NPO日本ホスピタリティ推進協会)

 その“ホスピタリティ”とはなんぞや?ということで、研修を受けにいったのが、ホスピタリティ・コーディネーター資格講座。本来であれば本学姉妹校の明海大学にある「ホスピタリティ・ツーリズム学部」の科目履修をすべきだったのかもしれないが、これも時間の都合などがあるので、2日間の講習(+1日追加講習で“グローバル”をつけた)を受けることにした。

 ここでは何と言っても、我々が漠然と“おもてなし”と同義語であると考えがちなホスピタリティを、対等な立場である主客関係であると人間的・社会的な立場から定義した上で、様々な概論を教えてくださることである。学者もの知らずで、正直なところサービス産業(旅行業や外食産業)の実務・実態については何も知らなかったのだが、とにかく「サービス:お金をいただいたことに対して何かを提供する当たり前のこと」と、自分がしてもらって嬉しいことを(これも瞬時に)考えて対等の相手に与えるホスピタリティの違いには、蒙を啓かれる思いであった。さらに、各業界の社長さんや第一線の方々による講演、それを聞いてのグループワーク、最後にはスピーチなど、「洗練された都会のセミナーとはこういうことか」と思わされる、本当に貴重な経験だった。その代わり、実はセミナー代と資格登録料が少々お高くて、合わせて6万円(?Webサイト上では67,200円)という、それだけの価値はあるのだが、やっぱり都会のセミナーという感じである。

 ちなみに内容は(セミナー教科書をそのまま使うのではなく、紹介されていた関連図書を用いつつ)、「地域表象論」「地域経営論」「異文化理解(看護学科)」などで紹介している。また、実は下位資格の「アソシエイト・コーディネーター」の資格を(協会のカリキュラムに従い)授与することもできるのだが、1回だけ開講した「特別講義1(ホスピタリティ学)」でしか使えていない…。学生さんで興味のある人が多ければ、いくらでも開講できるのだが。

 さて、案外と行数を使ってしまったために、以降は次回に回そうと思う。予告としては「誰でも取れるが知っておかなければいけない知識を教えてくれる『防災士』」「学芸員になれるわけではないが生涯学習の重要性を教えてくれる『学芸員』」「如何にして私は“ゼロ災でいこう、ヨシ!”の現場猫ポスターを貼るようになったか『危険予知訓練トレーナー』『安全衛生推進者』」「唯一持っている国家資格とその基礎資格『キャリア・コンサルタント』『産業カウンセラー』」である。1回じゃ入らないかもな。その時は、毎回の授業運営と同様、適当なところでぶった切る!

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