2022年11月117日から19日に関市で開催された関の工場参観日に行きました。見学した工場は、(株)杉山製作所と義春刃物(株)です。
(株)杉山製作所は、店舗什器、飲食店洋家具、アイアン建材、鉄家具の製造販売を行っている工場です。木では出来ない造形を鉄を使うことで可能にし、流線型の鉄家具を主に製作しています。(株)杉山製作所の工場見学では、工場の概要と歴史について説明を受け、職人の溶接の様子を見学し、最後にS字フックの作成体験を行いました。
工場の概要と歴史では、元々(株)杉山製作所は、自動車部品の製作が本業であり、今日のような鉄家具等の製作は、一切行っていなかったこと。その後、バブル崩壊による日本企業の海外進出を受け、売り上げが激減したといいます。現社長による提案で、自動車部品を製作する技術力を生かした鉄家具の製作を行ったのが現在の本業の始まりとのことです。
職人の溶接風景では、製品であるfelice chairの組み立て溶接を見学しました。治具を使い、部品を組み合わせ、仮溶接、本溶接と行っていきます。治具を使用する理由は、職人ごとの製品の差異をなくすためです。治具自体も自社で製作を行ったものであり、(株)杉山製作所の技術力を表しています。S字フックの加工体験は、実際に鉄の棒を治具を用いて人力で加工するものでした。力を均等に与えないと、鉄に歪みが出てしまい、フックがぐらついたものになってしまう。鉄の加工では、力を均等に与える技術が重要だということも学習できました。
義春刃物(株)は、彫刻刀、はさみ等の製作を行っている工場です。義春刃物(株)の工場見学では、シェインカービングの製作現場を見学しました。義春刃物(株)は、主な製品である彫刻刀の顧客である小学生は、少子化の影響を受けその数が減少したことで、大幅な収益低下が起きました。市場規模の低下が逃れられず、新たな市場開拓を迫られ、シェインカービングを始めました。シェインカービングとは、新たな彫刻アートであり、ビニールシートを彫刻刀で彫り、ガラスに似た質感を楽しむものです。
彫刻刀の新たな使用方法により、従来の小学生を対象とした市場から、大人を対象とした市場開拓を行っています。その方法は、社長自ら、YouTubeライブを毎週行い、視聴者とシェインカービングを行うというものです。更には、海外でクラウドファンディングを行うなど、海外展開も視野に入れ、活動を行っていることがわかりました。
工場見学では、2社の工場を見学しましたが、どちらの工場も時代に合わせた戦略をとっており、日本市場の今後を見据え、海外進出や、差別化戦略等、中小企業論で学習した、経営を行う為に重要なことを実例として見ることが出来ました。また、町工場ならではの、職人技を目の当たりにすることができ非常に感動しました。日本の町工場が誇る技術を宣伝するという点でも、工場見学はいい物だと思いました。
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