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貨幣調査よもやま話①(櫻木晋一)

経営学部 櫻木晋一

 私の専門は貨幣考古学・日本貨幣史です。ほとんどの方は聞き覚えのない学問分野なので、貨幣のコレクターと間違えられそうですが、皆さんもご存知の和同開珎や寛永通寳など日本史上に登場する貨幣がどのように作られ、流通していたのかを研究しています。発掘調査によって出土した貨幣を使用する私のような歴史研究者は少なく、日本だけでなく、ベトナム、ラオスなどの東南アジアや、ヨーロッパの博物館まで調査に出かけていくこともあります。世界を股にかけ、「なんでも鑑定団」のような仕事をしていると言ってよいかもしれません。

 これから数回にわたって、私の貨幣調査例をコラムとして連載していきますので、お付き合いください。まず第一回は、本学にはベトナム人留学生も多いことから、昨年の12月におこなったベトナムのハティン省歴史博物館での調査について紹介します。2年続けて12月にベトナムを訪問しましたが、昨年はクリスマス当日がベトナム語の通訳付きでの国際学会報告でした(写真1)。

写真1

 日本史を専門とする私が、なぜベトナム調査に行ったのでしょうか? 実は、17世紀には日本で作られた貨幣がベトナムに輸出され、当地で流通していたのです。ハティン省歴史博物館には発掘された数千枚の銭貨が保管されており、この中に日本製コインが混入している割合を調査することで、近世初期の日越関係を明らかにしようと考えたからです。日本人学生や現地の博物館スタッフを指導しながら、博物館内の一室で朝から夕方まで作業をしていました。

 錆びついた銭貨をワイヤーブラシで磨きながら銭銘を読み取り、銭種ごとに仕分けをしていきます(写真2)。新コロナウィルス対策ではありませんが、マスクを着けていないと細かい緑青などが空中を漂っており、身体によくありません。その後、銭種ごとの枚数などを記録し、写真撮影、拓本採りと手分けをしての流れ作業です。短期間の滞在中に作業を完了されなければならず、集中力がいるので、かなり疲れます。

写真2

 作業が終わり、ホテルに帰って手を洗っても金属のにおいと錆がなかなか取れません。37階建ての高層ホテルに泊まっているのに、身なりは汚いという珍奇な状態です。楽しみといえば、私は麺類が好きなので、ベトナムでは「フォー」を食べることです。毎朝、フォー・ボー(牛肉)とフォー・ガー(鶏肉)を交互に注文し、夕食時にはビアハノイを飲みながら生春巻きを食べるのが、私にとっては至福の時です(写真3)。 今回は自己紹介と旅行記になってしまいましたが、次回は本題の銭貨について書きます。

写真3
別の調査での作業風景(参考資料)

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